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電脳獣被害者が透明人間になる世界で俺と彼女は引き裂かれ続ける(XXC  作者: 京夜騎士団長
第一章 始まりは2年前から
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小さな影

「それにしても」と切り出したグレンはアレクを一瞥してから続けた。

「お前がいて本当によかったよ、アレク」

「ったく、ここに来た目的が違うっつうんだよ。俺はこいつを守るためにここに来た訳じゃねぇんだ」

「だがお前が居たから彼は今立っていられる。そうだろ?」

「ケッ。調子のいいことぬかしやがって。ほかに用がねぇなら俺ぁ行くからな」

「ああ、ありがとな」

飛び立つアレクに軽く手を振って見送ったグレンが振り返る。

「この周辺にいるモンスターの討伐は完了した。だが、他の場所が心配だ」

「なんか今回数多くないっすか?いつも出てきても一体だし、それにまだ昨日出たばかりですよね」

普段陽気そうなアイリスの声も強張っているようだった。

「いつもは数ヶ月に一体って感じなのにね」

頷いて同意するクレアも別れる前とは様子が違う。

「グレン隊長が三体、アイリスとクレアが二体ずつ、セツナとアレクで三体、私が五体で……えーっと」

ユーリは指折り数えているが、コイツサラッと凄いこと言わなかったか。

「十五体だ」

脳内計算したグレンが言うとユーリは飛び上がるようにして青ざめた。

「それってもう……」

「ああ、この五年間に出たモンスターの数を上回ることになる」

「何故今日一日でそんなに……」

「何かが狂って来ているのは間違いなさそうだな。しかも今日の奴らは雑魚十五体でなく、ゲーム内じゃボスクラスを張る奴らだった。セツナ、お前が倒したモンスターに心当たりはあるか?」

「はい。あれはモンスター・ジ・クロスに出てくる狐型モンスター、ボルテイルコヨーテでした」

グレンの眉がピクリと動いた。

「やはりそうか。俺もそのゲームで奴と戦ったことがあるが、奴には苦戦した記憶がある。よく無傷だったな」

「俺一人じゃ死んでました。それにコイツがいたから」

己の鞘に収まっている相棒の柄を優しく撫でた。

「レックスデストラクション……か」

「はい。コイツの連続技はどんなモンスターでも一撃でしょうから」

「そんなに強いんだな、そいつ。次にモンスターが出てきたら頼むぜ」

「任せてください。そういえば、他の場所に連絡する手段は無いんですか?」

「無いな」

即答だった。それから俺たちは自分の翼を使ってポータルを目指した。

「こうやってポータル移動して現地に行くしかない」

「ここのポータルってこんな離れてましたっけ?」

「そういう場所を選んで見回りしてるからな」

「そういう場所こそ見回りしなくても、なんとかなるんじゃないですか?」

「ダメだ。気付くのが遅れて都心部へ行ってからじゃ遅いからな」

「それはそうですけど……」

俺が言い淀んでいると、目の前に急にグレンの手が突き出される。

「待て……誰かいる」

確かに少し先の岩陰に小さな人影が空中からでも確認出来た。

「この辺りに誰かいるとは思えないが一応な」

そう言ってグレンは地上に降りていった。俺たちも急いではいるが、人を救うというのに止める理由は無いので彼に続いた。

念のため少し離れたところから様子を窺っていたグレンが突然固まった。

「あれは……あ……」

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