やっぱ無理
「やっぱ無理だって」
「そんなことないって」
彼がそんなこといっても、無理なものは無理だ。
激辛好きの彼と、甘いもの好きの私は、もとから趣味もし好も逆だった。
いつもは私に合わせてもらっているから、ということで激辛料理店に入ったわけだけど……
そもそも壁も椅子も目の前にあるほとんどのものが赤色に見える。
天井が白色で、床が黒色なのが、どうにか精神安定に役立っているという感じだ。
彼は、試しだということで、それでも一番甘めに設定されているんだというラーメンを注文するように言った。
それでも、唐辛子が大さじで2杯ぐらい入っていて、どう見ても私が食べられるものではない。
他の人は額に汗かいて食べているが、私はこの場所にいるだけで汗だくだくだ。
すぐにでも着替えたいと思うほど、べったりと服が張り付いている。