~こちら異能力職業安定局~ ぷろろーぐ!!
「暑い・・・・暑すぎる・・・」
自分の足も届かないイスに座り、少年は机の上で茹だってた。
しかし、今日はだれている場合ではない。新人が来るのだ!苦節3年間・・・・異能力者の職業を支援し・・下の階の化け物どもの猛攻に耐え・・・時には1階の禿げたおっさんの力で奴らを排除し・・・あのおっさんもイヤらしい目で見てくるけど・・・ようやくようやく、新人という貴重な戦力が来るのだ・・・どんな人だろう?怖い人でなければいいが・・・取りあえず鏡で自分の姿を確認しなければ・・・新人にだらしない恰好を見せるわけにもいかない。
少年は席を立つと鏡を確認した。少し後ろ髪の伸びたシルバーブロンド、兎のアップリケのついた帽子の位置を調節し特注の制服に身を包む。
「うん、これでよしっ」
少年が身だしなみを整え終わると同時にノックの音が聞こえた。
「来たっ!!」少年は笑顔で扉の前に立つとそこには、黒いきれいなポニーテールをした、いかにもしっかりとしてそうな女性が立っていた。
「異能力職業安定所にようこそっ!!」女性は少し戸惑った表情をしていた。
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降りしきる夏の日差し、木々は青々とし蝉は五月蠅く鳴き続ける。ジリジリと照り付けるアスファルトを歩き私は古ぼけたビルの前に一人立っていた。うだるような暑さの中書面に書かれた事務所を探していく・・・
1階「田中武法律事務所」
2階「バー、ズッキュン♂戦乙女」
3階「なんでも買い取ります。貴方の臓器も魂も。」(ズッキューン店員お断り)
・・・・・・・2階と3階のラインナップはどうなっているのだろう。どう考えても普通じゃない・・いや、だからこそ、ここにこんな部署があるのかもしれない・・・
そして私は目的の事務所を見つける。子供の書いたような丸い可愛らしい文字で4階「~こちら異能力職業安定所~」ご丁寧なことに(右には兎のようなネコのような?)不思議な生物が描かれている。
私はエレベーターのスイッチを押し上に向かった・・・そしてドアノブを回し中に入る。
ドアが開くと同時に声がした。
「異能力職業安定所にようこそっ!!」
しかし、目線には誰もいない・・・
「下っ!もっと下だよっ!!」
目線を下すと少し髪の長い小学生くらいの少年が立っていた そして少年はニコニコ笑顔で話し出した。
「自分が所長の白野月兎です!気軽に白うさと呼んでください!!」
これは私こと異能力職業安定所所長補佐である「理奈瀬桜」と、どうみても小学生にしか見えない所長「白うささん」との1年間を綴った物語。