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苦手な方はご注意ください。

プールカード

作者: 冷暖房完備

7月5日

 体温    36°8

 朝食    〇

 お腹の具合 〇

 睡眠    〇

 怪我    〇

 今日の参加 〇


7月6日

 体温    36°8

 朝食    〇

 お腹の具合 〇

 睡眠    〇

 怪我    〇

 今日の参加 〇


7月7日

 体温    36°8

 朝食    〇

 お腹の具合 〇

 睡眠    〇

 怪我    〇

 今日の参加 〇




プルルン、プルルン、プルルン、プル……

「はい、もしもし」

『もしもし、わたくし◇□小学校の荒木と申しますが、金江さんのお宅でしょうか?』

あら?達也の担任の荒木先生だわ。

「そうです。いつも お世話になってます」

『今日はプールカードの件で気になることがありまして〜』

ん?何かあったかしら?

荒木先生は真面目で教育熱心で好感が持てる先生だ。

『いつも体温が同じなんですが、ちゃんと計ってますか?』

ギクッ!!

「い、いえ……」

『これから達也君はキャンプもありますし、何かあると困りますので体調管理はしっかりしてほしいんですよ』

「す、すいません」

『夢花ちゃんにも聞きましたら、彼女も計ってないと言っていまして〜』

ギャー!!

5年生の息子だけでなく1年生の娘にまで聞いたんですか!?

『夢花ちゃんはまだ上手に体調の事を担任に言えないのでね、プールでの事故にも繋がりますから、しっかり体温を計ってくださいね』

「は、はい」


うわ〜(泣)裏取り済みか……。


良かった、計ってますよ?なんて嘘つかなくて。

しっかし、荒木先生はクッソ真面目だな。

こんなん どこの親もやってる事じゃない?

試しに聞いてみたら、殆どのママ友がテキトーだった。

ただ『毎日同じじゃバレるやろ?アホ』

とは言われたけどね(泣)




「ただいま〜」

「おかえり、夢花。今日、荒木先生からプールカードのこと聞かれた?」

いらん事を言うなとは言えないけどね(泣)

何気に聞いたら、夢花が涙目になった。


え?


「立川先生にね、嘘つきは泥棒の始まりですよって言われてスゴく怖かった」

立川先生は夢花の担任だ。

女の先生ばかりだった幼稚園を卒業してから初めて出会った男の先生。

それだけで夢花は怖い怖いと言っていたのに!!

「立川先生に聞かれたの?」

「ううん。荒木先生が話に来たんだけど、立川先生がそばにいたの」


ふ、ふ、二人がかりかよ!!


先生だったら何してもイイのか!!

そりゃテキトーにやってた私も悪いですけどね!?

でも子供 関係ねぇだろ!!

しかも泥棒の始まりって、いたいけな少女に何言っちゃってくれてんの?

お前、グレたら責任取ってくれんのか!?

親子の信頼関係どうしてくれんだよ!!


怒鳴りこんでやろうか!!

いや待て

このまま怒りに任せて怒鳴りこんだらモンスターペアレント確定だ。

まだ息子には1年半、娘には5年と半年の小学校生活がある。


くそっ!!子供を人質とは卑怯なり(泣)


でも、このまま泣き寝入りは悔しい!!

とりあえず、今回の事をママ友に話さなきゃね。

さっそくランチのお誘いメールを一斉送信する。

でも なんか それだけじゃ気が収まらん!!


あ……


確か、私立中学に入った甥っ子が荒木先生の息子と同級生だったわね。

一度、授業参観に行った時にチラリと見た覚えがある。

昔イジメにあったとかで私立の中学に進んだって他のママさんから聞いたからビンゴだと思う。


甥っ子は忙しい両親に代わって勉強から何から全て教えた私の言うことには逆らわない。

さっそく携帯のアドレス帳を開いて、塾の送り迎え用に持ってるという甥っ子の携帯にメールを送る。

まぁ、詳しい内容は返事がきてからと言うことにして……。

一言だけ打って送信した。




『荒木をいじめろ』





肉体的に~でなく、精神的にね?

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