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プロローグ
誰もが予測しない瞬間に種が一つ、大地に蒔かれた
落とされた種は地を転がり、自分の場所に腰を下ろす
そして、深く深く根を張る種は次第に大きくなり、小さな芽を出す
小さな芽から幹を携え、いつしか大きな木となる
そして花を咲かせ、実をつける
しかしそれは誰一人目撃する事なく起きる、ごく自然で儚いこと
人間もまた同じだ
人と人との出会いは本当に突然
ある時勝手に出会い、勝手に始まる
まるですべて決まっていたかのような、 自然すぎる事の流れ
時に枯れてしまう事もある、そんな儚いもの
人も、自然も、全て同じ
皆同じサイクルに生まれ、同じサイクルで散っていく
これはそんな儚いものの中の一つ、儚い恋の物語