第一章30~33 要点まとめ
止湮と墨然による、際允たちの家で行われた調査会議。二人は際允の死が「自殺ではない」という確信を共有し、本格的な協力体制に入る。
四年前から独自に調査を続けていた、墨然の行動力だが、証拠は一切見つからず、なぜか悔しさを滲ませる。
生前の際允の対人関係は極めて希薄だった。唯一の友人であった止湮でさえ容疑者候補が見当もつかないほど。傍聴している際允本人は、自分の人生があまりに「生きていても死んでいても大差ない」ほど単調だったことを改めて突きつけられる。
そこで、墨然は遺品の話を持ち出すが、そのすべては止湮の元にあるという事実に衝撃を受ける。
目の前に並べられた遺品を前に、墨然は「際允が生きていた」という実感を抱く。けれど、真相に繋がる手がかりはやはりなかった。
仕事の忙しさと手がかりの欠如により、調査はしらみつぶしの非効率な作業へと戻ってしまう。
四年後、際允が十歳になったある夜、遅々として進まない現状に、止湮は突如として「ごめん」と際允に謝罪する。
職場に現れる実の両親と会うたび、止湮は「自分は役に立たない人間だ」という無力感に苛まれる。その日も、調査が進まないことに責任を感じた止湮がそのせいでさらに沈んだ。
際允は「諦めてもいい」と彼なりに慰めた後、止湮は際允に対し、
「もし、いつかうっかり君を抱き枕にしてしまったら、その時は遠慮なく注意してくれ」
と甘えるような言葉をこぼす。
自分の人生などを一切顧みず、すべての時間を際允と調査に捧げている止湮。それでも、10歳になった際允に、止湮は「君を一人にして自分だけ楽しむことはできない」と断言。
初会議の日以来、墨然はチャイムを鳴らさずメッセージで来訪を告げるようになった。それはまさか、止湮の依頼ではなく、墨然自らの提案だった。
墨然は、あの時、際允のトラウマ反応に、「原因はチャイムの音」だと見抜いていた可能性がある。
なぜ、赤の他人である子供のために、止湮の不信を買ってまでそこまでするのか。そんな疑問は解消されぬまま、二週に一度の会合は数年も続いていく。




