#9 バカには見えない拳銃です!
部屋奥の扉を開くとそこは廊下で、三つの扉がある。
俺が最奥、柊命が真ん中、愛鈴が手前の部屋を見る事になった。
最奥の部屋、何やら段ボール詰めされたものが多く置いてある。
そして、部屋の中はなんだか鉄っぽい匂いと消毒液のような匂いが混在している。
……長くはいたくないなキショいし。
部屋の奥には結局研究員らしき人はいなかったが、一つだけ異様なダンボールがあった。
なんだか他のものよりひとまわり大きくて、テープがぐるぐるに貼ってある。
そして、この荷物からは鉄と消毒の匂いがしない。
段ボールをノックするように叩いてみた。
すると、段ボールの中から激しく叩くような衝撃が伝わった。
かなり、暴れている。
バッグの中に忍ばせていた予備の予備の予備の刃物であるカッターで恐る恐る段ボールを開く。
すると、中から出てきたのは制服を着た一人の少女だった。
長いストレートのオレンジ髪に翡翠色の美しい目。
そんな目でこちらを覗き込むように見ている。
そして腕は紐で結ばれていて、ガムテープで口が塞がれている。
「だ、大丈夫!?」
急いでガムテープを剥がす。
「い、痛ッたい! 急に剥がさないでよ!」
「あ、ごめん」
カッターで紐を切る。
すると突然、彼女は両手で何かを持っている素振りをしながら手を向けてきた!
「手を上げて! 従わないと撃つよ!」
「……?」
しかしその手には何も握られていない。
「手を上げて!」
「撃つって……何を?」
「それは、この手に収まった銃を……あれ……」
よかった俺が見えてないだけだと思ってた……
「こ、これが見えないの!? 手を上げて!」
「そこまでゴリ押したらブラフでもなんでもねぇよ。あと、別に危害を加える気はない」
「そう? なら何か武器を貸して」
「ほれ」
先ほど使っていた銃を投げ渡す。
「かかった! 手を上げて!」
「いやそれもう弾入ってないし武器にできるほど重くもないぞ」
「え……?」
「……」
「……」
「一回落ち着こっか。それとも殴り合う?」
小中学のとき、叔父の周囲では互いに殴り合ったら何でも解決するという風潮があった。
……今更考えるとどういう事だ?
「もう……私ってばいつも……ごめんなさい」
「大丈夫?」
「……ごめん、錯乱してた。あなたはこの施設の人じゃないの?」
「違う。施設の人を絞めにきた」
「じゃあ敵の敵、つまり味方ね」
敵の敵が味方かは割と状況によるだろ。
「実は、さっき急に後ろから殴られて捕まってたの。ありがとね、助けてくれて」
「まぁ、不本意には」
「私は月宮忍羽。あなたは?」
「俺は陽奈山蒼馬。よろしく」
彼女に手を差し伸べる。
彼女はそれを掴み、ゆっくりと立ち上がる。
「別の部屋に仲間がいる。事が済んだら地上まで送っていこう」
「蒼馬……誰だそいつ?」
「なんか捕まってたらしい」
「どうも、月宮 忍羽です」
それぞれ探索を終え、部屋から出てきた。
「見つかったか?」
「いや、こっちは特に」
「そうか……オレの方にもいなかった。つまり……」
「私の方もいなかったよ」
「???」
「つまるところ、隠し通路があるとかか?」
「恐らくね。ただ、仮にあっても全く見つからない。見当もつかない」
「頑張って探すか?」
「いや、これなら今ある資料とかだけ漁って撤収かな」
「わかった。柊命もそれでいいか?」
「え? ああ……そうだな」
「それじゃあ、私の調べた部屋に色々と気になったものがあったの。ちょっと見てくれる?」




