#82 Un bye friends⑥
彼女が手を開くと、その周囲に光の粒子が舞った。
そして、指を鳴らすと、10本の剣が彼女の背後に展開される。
「”ジジュメン”」
そう言い放つと、剣達は一斉にこちらへ向く。
「こうなったら!」
ついに剣からカードを取り出す。
現状、例の姿に変身する条件は揃っている。
しかし、先ほどから狙っているかのように魔力吸収ができる技が来ていない。
そのため、剣にはほとんど魔力が込められておらず、あまり出力を出せない。
だが、そうこう言ってられる場合でもないのだ。
……青薔薇のクリスタルのカードを差し込む。
『Linker Maximum Singularity!』
例の全部載せフォームへと変身した。
戦えるのは……せいぜい5分ほどだろう。
「やっと変身したね、その姿に」
剣を向ける。
アイツら、間に合ってくれればいいのだが……
「”レアリテ”」
10本の剣が、それぞれ飛んでいく。
一本は弧を描くように、一本はまっすぐ、それぞれ特徴を持った動きで翻弄していく。
攻撃をいなしても間髪なく次の攻撃が飛ぶ。
スーツの隙間、装甲の薄い部分の傷が重点的に狙われ、小さな傷が段々と溜まり、やがて大きく肉の裂ける傷となる。
……まともに防げてすらいないのに、防戦一方だ。
「ッ……”ブレイローズ”!」
剣を床に突き立てると、小爆破と共にそこから青い花びらが散る。
剣達は小刻みに震えながら、不安定な挙動で彼女の手元に戻った。
「へぇ、魔力を撹乱したんだ。でも、一時凌ぎにしかなれないね」
「ッ……!」
今ので剣に貯めた魔力のほぼ半分を使ってしまった。
肩で息をし、一度立て直す。
なんとか、時間稼ぎを……
そう思った瞬間、彼女は目の前まで迫っていた。
「こうすれば、撹乱なんて関係ないなッ!」
2本の剣を振り下ろす。
とっさに剣を地面から抜き、二太刀を防いだ。
体力も魔力も減るばかりだ。
……やはり、コイツ相手じゃ”回避不可の一撃必殺”を当てるしかなさそうだ。
次の瞬間、湖にポツンと、小さな渦潮が発生した。




