#79 Un bye friends③
長い廊下を進んでいく中、いろんな部屋を見てきた。
何かの魔法陣を描いている白衣の魔法少女達、白い髪に琥珀のような目をした弓を持つ少女、それに肉体労働して小さなプラズマみたいな小球を発電してるヒーロー達。
なんかすごいな。
そして、ついにそこへ辿り着いた。
「ようこそ、革命の舞台へ」
紫の髪をした魔法少女、運結フミ。
施設の最奥、玉座のような席に座って彼女は待っていた。
まさにラスボスといった風格だ。
「5人とも、待っていたよ」
彼女は、悠然と佇んでいる。
「よくもまあやってくれたな!」
「何を?」
「八王子の件にせよ、愛鈴の腕の件にせよ、元凶はアンタなんだからな!」
「新世界のためには容易い事よ」
依然として、彼女の態度は変わらない。
「新世界って何なんだよ!」
「そうね……冥土の土産に教えてあげるわ」
玉座から立ち上がる。
「この世界にせよ、貴方達の平行世界にせよ、それらは偶然性によって生まれた。ほとんどの宇宙はそうやって生まれたわ」
彼女はどこからか白いリンゴを取り出す。
「でも、一つだけ違う世界がある。それは神々の世界」
「神々の世界?」
「唯一、人為的に作られた世界。そして、それを生み出したのは4人のΩ魔法の使い手。あのお方達はその力を駆使して神々の世界を作り出し、神々は自然に生まれる宇宙を管理するようになった。このリンゴもそんなΩ魔法の使い手が作った寄生虫。食べたら神になっちゃう」
そんなリンゴを、彼女は食べる事なくしまった。
「この平行世界を繋げる実験、実は神と協力してやっててね、その報酬でこのリンゴをもらったんだ。ただ、もう食べることはないけど」
先程から、何をいっているのかわからない。
神とは何だ? Ω魔法の使い手とは?
「私の能力、”運命の操作”は偶然や行動時の判断を操る能力。二重振り子の軌道を完全に操り、戦いの中の次にどんな手を打つかという判断を掌握する。四つのΩ魔法の中のひとつに近しいものだ」
運命の操作……
「でも、Ω魔法には一歩届かない。そんな中見つけたのが貴方なんだよ。陽奈山蒼馬」
「……俺?」
「あぁ、貴方だよ。私の愛鈴を奪いに来たあの日、貴方らは死ぬ運命にあった。私の”クピードー”に負け、なす術なく死ぬはずだった。でも、運命通りにはならなかった」
彼女は拳を強く握る。
「思えば綻びはいくつもあった。貴方には私の運命操作の副産物である”修正力”が効かず、本来君が人質として捉えられるはずだった梨疾羅の奇襲も、貴方が返り討ちとした」
握る手が強くなり、目に狂気が宿る。
「ゴルディジェネラは貴方に負け、訳のわからない装置を使い、他の幹部達をも倒した」
異常事態、かつて金髪の少女が言っていたことを思い出した。
「1番の決め手はコレだ。陽奈山蒼馬などいう人物は他の世界には存在しない。いや、小学生の頃に全ての世界線において死を遂げている」
……は?
「当時、愛鈴から文通で聞いたよ。過去にお姉さんに殺されかけたらしいね。未遂だが」
「まさか、俺があのとき死ぬのが本来の運命だってのか!」
「そのまさかだよ。私はてっきり、この世界の特異性は『魔力が存在しない』というものだとばかり思ってた。でも、実際には魔力を持たない世界線も多い……」
「貴方こそ、この世界の特異性だったんだよ……陽奈山蒼馬!!」
……思考が止まった。
は? え? は!?
いや……うん、まぁ、すごい事実だけど「だから何?」感が……うん。
「最初は脅威として殺処分する予定だったが、まさかこんな最高な実験対象がいたなんてね! これで私は! 神をも超えた存在となる!」
彼女はどこからともなく光を纏う剣を取り出し、握りしめた。
「さぁ、勝負だ! 貴方という未来を奪い取る!」




