#77 Un bye friends ①
……2025年 5月12日 (MON)
明日は、タイムリミットになる。
期限を過ぎても修正力でどうにかなるが、それでも人々が危ない目に及ぼされるのは由々しき事態だ。
それまで、血眼でヤツらの本拠地を探したが、見つからなかった。
無論、今日も血眼で探すつもりだ。
朝食を作るために、寝室の扉を開く。
しかし、その先に広がっていたのは、老化ではなく白く狭い謎の部屋だった。
部屋の真ん中には、二つの椅子が向かい合うように、その間には丸い小机がある。
上座に座るのは……運結フミ。
多くの世界から無差別的に生物が送り込まれている元凶の人物だ。
「やぁ、久しぶりだね。座りたまえ」
扉を閉じ、彼女に促されるまま、下座に座る。
「苦労してるみたいだね」
「誰のせいで……!」
「そうカッカしないでよ。今日は提案をしに来たんだ」
「提案……?」
「そう、貴方にとっても悪い話じゃない」
彼女は、足を組む。
「貴方のその機械、名前は知らないけど私に託してみないかな?」
「断る」
「まぁまぁ、ちゃんと見返りはある」
「……」
「貴方、随分と仲間が大切みたいね」
「……そりゃな」
「そこで、貴方のそれを渡してくれたら、貴方とその仲間たちの安全な生活を保証しよう」
「……」
「言うまでもないが、当然約束は守るさ」
「……それでも、人は襲うんだろ?」
「えぇ。でも他人のことなんでどうでもいいでしょ? だって、これまでの貴方達は身にかかる火の粉を払っていただけなのだから」
「……は?」
「これまでは全部、貴方達を起因に起こった戦いだったのだから」
……あれ、そうだっけ?
「で、どうする? 悪くはないでしょ?」
「……」
「なるほど、なら俺の答えはこれだ」
カードをスロットに差し込もうとする。
「おっと! まだ貴方には倒れてもらっちゃ困るんだ! そうだ、これをあげよう」
紙飛行機が投げ飛ばされる。
それをキャッチし、紙を開く。
「これは……!」
「交渉は決裂だね。それじゃ、待ってるよ」
その瞬間、白い空間は消え失せ、部屋前の廊下に戻った。
この紙は……
「朗報だ、ヤツらの施設の場所がわかった」
「ま、マジ!?」
柊命がひどく驚く。
「あぁ、運結フミが直接来やがった」
「大丈夫? それって罠じゃない?」
「罠だとしても、今はとにかく情報が欲しい」
「……なら、行こうよ。私はもう、覚悟できたから」
「僕も、腹括った」
「おかあさまには、色々問い詰めたいから……」
「オレも準備はいつでもできてる」
「……なら行くぞ。これが最後の戦いになるといいな」
「そうなって欲しくなさもあるけどね」
「……」「……」
「……」「……」
「あ、ごめ……」
「俺らも、同じ気持ちだ」
「……うん」
重い足取りで、紙飛行機に描かれた場所へ向かう。




