#76 思い出は残しておいて損はない
そんな訳で、遊園地にやってきた。
「柊命! なんかここすごい昭和チックだよ!」
「こんな遊園地あったのか……!」
「お前が転生した数年後くらいにリニューアルしたんだよ。多分」
昭和レトロをテーマにした遊園地で、最近リニューアルがあった。
いや、最近って言っても何年前だ……?
「おしゃれなカフェあるよ!」
「お、いいなー」
「そうか。この時代は昭和がレトロなんだな」
「そういや、雄一って令和生まれなのか?」
「あぁ、もう僕の時代は平成レトロだ」
「今もわりとそんなもんだよ……」
「ギリ昭和生まれの私はどんな反応すればいいの……?」
そういや、年齢は近いのに結構生まれ年に違いあったな俺ら。
俺と柊命が平成、雄一は令和、忍羽は昭和、愛鈴は……
「愛鈴が生まれたときの元号ってなんなんだ?」
「えーっと、平明」
「なにその平成と明治を足して2で割った何か?」
「そういう元号なんだよ」
「な、なるほど……」
「あ、パレード始まってる」
「わーい!」
皆、昭和レトロなパレードに釘付けとなった。
その後、俺らは園内で最新の4DXの映画を見たり、昭和レトロなクリームソーダ飲んだりして過ごした。
そして気づけば閉園時間、5時だ。
俺らは遊園地の近くにある湖で黄昏ていた。
「……満足したか?」
「……うん」
俺と忍羽はベンチに座っていたが、何故か他の3人は「すぐに戻ってくる」と何処かに行ってしまった。
「……ねぇ、蒼馬」
「なんだ?」
「あのさ……」
「別れが惜しいか?」
「……」
忍羽は、何も言わずに頷いだ。
彼女の翡翠色の瞳が潤む。
「あと1週間あるんだ。今のうちに思い出作りしような」
「……うん」
夕陽が反射する湖を見る。
「……ねぇ」
彼女が、俺の袖を掴んだ。
「……あのさ、蒼馬」
俺の目を、その瞳でしっかりと見る。
「……私……実は……」
そこまで言ったところで、彼女の喉がつっかえた。
「忍羽」
「……?」
「これやる」
紙で包装された箱を取り出し、それを彼女に手渡した。
「これがある限り、俺は、何があってもお前を見つけ出してやる」
「……平行世界まで?」
「あぁ。絶対に」
「……そっか。ありがと」
ベンチから立ち上がる。
「そろそろ帰るか」
「うん!」




