#73 母なる凶星、還るは彗星⑦ / Under Comon ④
「やったか!?」
「いや……あれは!」
彗星は、相も変わらずそこに佇んでいた。
もう、終わりだ。
膝から崩れ落ちた。
「……柊命」
「……なんだ?」
「この際だから言うけど……好き」
「何回目だそれ」
「心の底から言ったのは初めて」
「そうか」
ゆっくりと立ち上がり、彗星の方を見る。
「それじゃ、ここに遺骨を埋めるとするか。せめて異世界じゃなくて故郷の国に埋められて幸せだ」
「私も、柊命と一緒なら本望だよ」
強いて心残りがあるとすれば、異世界の仲間たちとこの世界の仲間たちだ。
向こうの世界で魔王は未だ倒せていないし、この世界だって、あの3人を置いていくこととなる。
大丈夫だろうか?
こうやって、道半ばなのもモヤモヤする。
なんか、カッコつけたいな。
「タバコでも吸いながら死ねれば、ビシッと決まるんだがな」
「やめてよ、2人とも未成年じゃん」
彗星がこちらを向き、口を開く。
そこに、光が溜まっていく。
「あばよ、愛鈴」
「来世でね」
彗星が、白いブレスを放った。
しかし、それが当たることはなかった。
目の前に、3人の人物が立っている。
「バッカ! もっとちゃんと押さえろ!」
「これでも力一杯止めてるよ!」
「むしろ、これを止めようって方が無茶だ」
心残りだった3人であった。
蒼馬が謎の剣を持っており、その刃先をブレスに当て、攻撃を受け止めている。
そんな蒼馬を、2人が手と体で押さえ、支えている。
「柊命! 愛鈴! お前らも手伝え!」
「え!? お、おう!」
「わ、わかった!」
彼を支えている男の腰に手を回すと、とても強い力で押し返されるように感じる。
それを、剣一本で……
数秒後、ゆっくりとブレスは治った。
「今のは一体……」
「2人とも、間に合ってよかった!」
「心配したんだよ! すぐに向かおうとしたけど時間かかっちゃって!」
「ここからは僕らに任せろ」
3人が、俺らの前に立ち、彗星に向かい合う。
「無茶だ! あんなヤツ、勝てる道筋なんて……!」
「勝てないのか?」
蒼馬が、そう聞き返してきた。
「は?」
「もし、アイツが必然的、絶対的に勝てないってレッテルが貼られてるなら、それを剥がすためにコレがある」
彼は、剣を地面に突き刺すと、その持ち手が二つに割れる。
その中から、青い花々によって彩られた、立体的なクリスタルのカードが現れる。
そのカードを左手に付けた機械のカードスロットに差し込んだ!
『Linker Maximum Singularity!』
青い花びらが散り、何本もの鎖が亜空間から現れ、張り巡らされる。
花びらが彼の体に付着し、光と共にその姿を変える。
彼の青い髪は微光しながら伸び、後ろで髪が留められる、全身には機械的であり、ヒーロースーツのようにスタイリッシュな白い装甲が。
その背中には巨大な手裏剣らしきものを担ぎ、先ほど使っていた剣の持ち手が閉じると、それを握った。
白と青を基調とした近未来的な大剣の刃が、並行移動し二つに割れる。
それによって生まれた境目には水色の光る液で満たされたタンクのようなモノがある。
剣を振り、鎖を絶つ。
鎖は破砕され、その欠片が彼に付着し、鎧の装飾となる。
「終わりを告げよう。その絶対性に」




