#70 画竜添生④
「うわ!? なんだこの空間!?」
勝った。
そう確信した。
漫画家志望で絵だけは一丁前な男、陽奈山蒼馬が来たのだ。
「蒼馬! これ!」
筆を彼に向かって投げる。
「え? え!? 何急に!?」
「あの龍に勝てそうな何か描いて!」
「……あ、アレ!?」
私の指差す先には、カッコをつけたポーズをしている龍が佇んでいる。
「描いたものが実体持つの! 大砲とか描いたら勝手に弾とかも出てきたりする!」
「わ、わかった! その間は時間を稼いでくれ!」
「了解!」
彼は、地面に何かを描き始める!
「時間を稼ぐぞ、月宮!」
「うん!」
今現在、私たちに出来ることは龍を蒼馬に近づかせないこと。
なんか大きいの描いてるみたいだし、ここで邪魔されたら大分面倒な事になりそう。
龍は早速、体を畝らせ蒼馬の元へと近づこうとする!
「させない!」
ネズミ型爆弾を投げると、爆弾が龍の眼前で爆発し、龍は軌道を変え避ける!
その過程で蒼馬から僅かに離れた!
「よし! このまま行けば……!」
「私の事を忘れないでほしいな」
流畏咲が一気に距離を詰め、クナイを振り下ろす!
「なっ!?」
間一髪、髪が少し切り落とされたが避ける!
「邪魔すんな!」
雄一が流畏咲の元へと駆け寄り、拳を向けると、すぐさま彼女は後ろに下がった。
「2対1は面倒だな〜」
彼女は首元に先ほどとは別の絵巻を当てる。
「”起爆・封密符”」
彼女が巻物を投げると、その中身が開かれる。
それは、巻物いっぱいに貼られた御札だった。
札は光を放ち始める。
「ヤバ…!」
札は一瞬にして起爆! 道路の幅よりも大きな爆発が起こった!
私と雄一は吹き飛ばされ、強く壁に打ち付けられる!
「痛ッ!」
「……!」
背中に強い衝撃が走り、前に突っ伏し倒れる。
……いや、駄目だ。
時間稼ぎをしないと!
足に力を込め、ゆっくりと立ち上がる。
「それじゃ、2発目……」
彼女が巻物を投げる前に、拳銃で巻物を撃ち飛ばす!
彼女のソレを持つ力はあまり強くなく、そのまま起爆もせずに地面に落ちた。
「いや〜遠隔持ちってのは面倒だね」
残りの3発を、全て撃ち込む!
彼女は避けなかった。
1発は彼女の首の右側を擦り、1発は彼女の左の頭部を掠め取った。
最後の1発は、彼女の眉間に命中した。
しかし……
「あ、当たってるじゃん」
一切のダメージを受けていない!?
銃弾は彼女の額に確かに当たった。
しかし、ソレは先端が潰れ、地面に落ちた。
「私ばっかりに構って、本題はあっちでしょ?」
彼女が私たちの後ろを指差す。
そこにいたのはあの龍だ。
「……ヤバっ! 忘れてた!」
「ほらほら、早くしないと彼やられちゃうよ〜」
龍が、彼の方へと飛んでいく!
絵はまだ完成しそうにない!
彼は未だ、地面に何かを描き続けている!
「蒼馬!」
「できた!」
彼がそう言うと、地面に描かれていた大きな四角い図形のようなものが動き始める!
その線に合わせ、地面に切れ目が入り、四角い大穴が開く!
大穴から、龍の眼前に巨大な影が現れる!
「やっぱり! こういう能力で物体が何かの性質を持つとき、本人のイメージに依存するんだ!」
巨大な両腕! 肩に乗った大砲! 背中に積んだ大きな剣!
そしてデカい顔!
影がその全貌を現す!
巨大ロボだ!




