#58 よがっだよ゛ぉ
忍羽はすでに玄関ホールでちょこんと座りながら待っていた。
「忍羽、何かあったか?」
「いや、設計者がゲストルーム大好きなんだなって事くらいだね」
「俺らと一緒か……」
一応、資料の内容を共有する。
「とまぁ、そういう訳なんだ」
「なら、警戒しながら救出しないとね」
「残すは地下だけだね」
「……僕が先陣を切る」
雄一に続き、ゆっくりと階段を降りていく。
そして、すぐに1つ下の階に着く。
左右には廊下が伸びており、前方には1つの巨大な木製扉がある。
「……真ん中から開けるぞ」
雄一は、またしても扉を勢いよく開ける。
なんかもう、FBIみたい。
扉の先には……柊命がいた。
それも、培養液に浸されている。
部屋は2階ほどの吹き抜けでパーティー会場のようになっており、1階、2階の手前、左右に扉がある。
そして、部屋奥にはステージ、そこに培養液の装置が置いてある。
「柊命ッ!」
愛鈴が階段を降り、急いで駆け寄ろうとする!
もう止めようとするには遅い。
「俺らは3人で扉の方向を警戒するぞ!」
「うん!」
「ああ」
ひとつひとつ扉を開いていき、黄色いガーベラのカードとオレンジのラナンキュラスのカードを構える。
強い敵が少数なら黄色、敵が多ければオレンジ、青は途中で全身が痛くなるからひとまずパス。
2枚のカード、どちらもすぐカードスロットに入れられるよう準備する。
「柊命! 柊命!」
愛鈴は機械のガラスを何度も叩いた後、一応持ってきていたピンクの剣でガラスにヒビを入れた。
ヒビから穴が空き、液が漏れ、ヒビが広がり、ガラスが割れる。
柊命は、力無く地面に倒れ込んだ。
「柊命! 柊命ぁ!」
ゆっくりと目を開ける。
「……愛…鈴?」
「柊命ぁ!」
愛鈴は半泣きになりながら柊命に抱きつく。
「本当によかった……よがっだよ゛ぉ」
「あら〜感動ね〜」
うわ出たよ。
開いていた2階の中央扉の前に、彼は突然として現れた。
ロン毛テイマーことイーステイムだ。
「お前が来るのか」
オレンジのカードを構える。
今現在、こっちのカードはバレている。
対策が取られてるようなら奥の手として黄色を……
「タワシうれしいわ〜みんなこんな成長しちゃって!」
「俺と忍羽は割と最近も会っただろうが!」
「あら? そうだったかしら〜」
なんだよコイツ!
「俺らはコイツを止める! 愛鈴は柊命を連れて逃げろ!」
「うん!」
「……」
柊命はこれまでに見た事ないほどぐったりしている。
愛鈴は身長差がありながらもそれをおぶり、彼の足を引きずらせながら脱出しようと試みる。
「あら? 逃げちゃうの? でももう遅いわよ」
彼はそう言い指をパチンと鳴らすと、地鳴りが始まる。
「な、何これ!?」
「どうなってるんだ!?」
「出てきなさい! 私の可愛いしもべちゃん!」
そう言い放つと、床を突き破り、砂煙を上げながら巨大なモグラが出てきた!
「な、なんじゃあコイツ!?」
モグラの頭頂部には巨大なドリルが取り付けられており、部屋の床の3分の1を埋め尽くすほど大きい。
「やっておしまいなさい!」
彼がそう叫ぶとモグラは地中に潜り、地中を掘り始める。
次の瞬間、4匹のモグラが部屋の壁から飛び出した!
「!?!?」
モグラは建物をどんどんと削っていき、やがて瓦礫が大量に落ちてきたとき、意識を失った。




