#52 溶金・上
「やっぱり来たな、金ピカ野郎!」
「待ってたぞ、青いヤツ」
「……」
「お、ヘタレヒーローも来たのか」
「……」
「君スーツ着ると無口になるね」
「そういや最初に会った時もそうだったな」
「……」
拳に力を込めると、そこから蒸気が漏れ出す。
「なんだ? 裏切るのか?」
「……もともと、僕は君の会社を辞めてる。それに、どちらにせよ運結フミとの契約は3日前の夜に終わっている」
「そうか、なら敵だな」
次の瞬間、互いの拳がぶつかり合った。
しかし、相手の拳の方が明らかに大きく、力も強い。
「っぱ弱っちいな!」
拳をそのまま押し出され、よろめいた隙をもう片方の手で殴られる。
「ッ……」
両手をクロスして防御するが、強い衝撃で押し出され、砂埃を上げながら靴が地面を擦る。
かなり痛い。
「そんなもんか!」
彼はすかさず、追撃を加えようとする。
月宮が後方から針を投げるが、そんな攻撃は一切通らず、そのまま接近する。
「喰らえ!」
男の拳を再びクロスした両手でガードすると、今度はその圧力で足が数センチほど固い地面に埋まる。
直後、後方からカナヅチを持った陽奈山がゴルディジェネラ(以降ゴルディ)の頭をめがけて腕を振り下ろす。
しかし、その頭からは火花が飛び散り、カナヅチは根本から折れた。
「はぁ!?」
「いってぇな、ガキに殴られた気分だ」
ゴルディは陽奈山の胸ぐらを掴み、後方へと投げ飛ばす。
「そういや、目的はそっちだったな」
彼は陽奈山の方を向いた。
すかさず、彼の背をめがけ、力強い一撃を放つ。
確かな手応えとともに、拳から蒸気が噴出する。
「……見誤ったな。コイツさえ倒せば誰もオレを止められねえ!」
ゴルディはすぐに振り返り、僕に向かって重厚感のある一撃を振り下ろした。
それを前腕によって受け止めようとすると、激しい衝撃が右腕全体に響く。
しかし、全力で押し返し、そのよろめいた隙にもう一撃加える。
「……」
左腕からも蒸気が溢れ出す。
「クソが! 出てこい怪人ども!」
彼がそう言い放つと、どこからともなくエヴォクションや魔物達が現れる。
「これ……やばくない!?」
「ここは俺らで抑える! 雄一はソイツに専念してくれ!」
「……ああ」
周りの敵を仲間たちに任せ、今はひたすらにゴルディと向き合う。
「クソ、こうなったら! もうなりふり構ってられるかよ!」
彼は下げていた金のネックレスを千切ると、その宝石を口に含んだ。
すると、彼に被さるようにひとつの残像が見え始めた。
しかし、それは間違いなく実在し、質量が存在するように見える。
一体……
すると次の瞬間、彼は残像と二手に分かれ出した。
そして、同時に襲いかかる。
慌てずに、本体らしき存在を殴る。
しかし、その殴った感覚は虚空に消えた。
刹那、背後の残像が実体を持ち、強力な一撃を叩き込まれた。
激しい衝撃と共に、その場に倒れた。




