#46 スペック負けが早い!
結局、午後まで体を休めてから俺も地図の場所まで行くことになった。
いや仕方ない。
なんせ戦闘員がもう俺と忍羽しかいないのだ。
それに、忍羽は本人曰くあくまで予備戦力だし……
ちなみに、愛鈴はというと今現在雄一に介護されている。
雄一もう帰る隙与えないからな。
負けたらギャグ要員ならぬ負けたら雑用要員だ。
「ここで合ってるはず……」
たどり着いたのは、飯能、入間、青海に囲まれた山。
名前は知らない。
「ここに……あった! 入り口!」
落ち葉を払うと、鉄の扉が姿を現す。
そして、それを開くと地下への道が繋がっていた。
「もはやこうなると慣れてきたね」
「さっさと行くか」
最早見飽きた地下への階段を下っていく。
地下、なんか階段の先にある扉が開きっぱなしだ。
「……なんか、いつもと違くない?」
「てか人の気配がないな」
「一応、警戒しながら入ろっか」
2人で銃を構えながら、静かにドアの先を覗く。
「あら〜、ここはハズレよ」
この前のシルクハットロン毛男が部屋の中央に座っていた。
「よし撤退だ撤退」
「ハズレって言ってるし逃げよっか」
「だめよ〜!」
男が指を鳴らすと、紫の魔法のような柵が下がり、出口を塞いだ!
「残念だけど〜勇者ちゃんは別のところにいるの! もうここからは情報が筒抜けになっちゃうから〜かなり計画を変えたのよ〜!」
「おいおいマジかよ」
「やるしかなさそうだね」
アウターの左袖をめくり、胸ポケットから青薔薇のカードを取り出す。
「あら? 何かしらそれ?」
カードスロットに青薔薇を差し込む。
『Linker Origin』
「変身!」
蓋を押し出し、薔薇の花びらが舞い、戦闘スーツと武器を形成した。
「あら〜! こんな面白そうなのを黙ってただなんて、萌えるわ〜!」
「萌えねぇよ!」
距離を詰め、剣で切り掛かる!
しかし、黒いオーラを纏った左手によって受け止められた!
「うーん、10点中6点! あまり使いこなせてないみたいね!」
オーラを纏った右手で強く殴られる!
腹部に痛みが走り、そのまま壁に衝突した!
……軽傷か
忍羽か銃弾を全て撃ち放つ!
が、しかし! それら全てを片手で受け止められる!
化け物かよ……
リロードをするが、その間に男に駆け寄られる!
「危ないッ!」
男の忍羽の間に入り込み、攻撃を剣で受け止める!
そして、力を込めた一撃によって、後方へと大きく退かせた!
「あら〜、結構良い一撃貰っちゃったわ〜」
突然、全身に強い痛みが走る!
「ッ!?」
思わず膝から崩れ落ちると、そのまま変身が解除された。
「蒼馬!?」
「やっぱり、使いこなせてないじゃな〜い」
「……マジか」
昨日の戦いも踏まえてわかったことだが、この姿で戦うと、恐らく身体的負担が大きい。
体が追いつけていないのだ。
震える足で、立ち上がる。
「別に、固執する必要もないしな」
ポーチから金属の杖を取り出す。
「来いよ、手加減してやる」
「あら〜情熱的! それじゃ、お言葉に甘えて……」
男が、一気に距離を詰め、拳を叩き込もうとする!
それを杖でいなし、華麗に避けていく!
そして、隙を見て相手の喉仏に杖を突き立てようとする!
が、しかし、相手は上を見て体を反らし、杖をスレスレで避けた!
だが、その体が戻る前に、上を見たことで死角となった位置から忍羽が銃弾を放つ!
「あら〜」
しかし、男は反らせた体でバク転し、その銃弾をスレスレで避けた!
「お か え し」
呆気に取られた隙に、男の拳が顔面を通り抜けた!
強く飛ばされ、地面で何度も転がり、体が擦れる。
「あなたもよ」
男が手から黒いオーラを弾として、忍羽に飛ばした!
「え!?」
予想だにしない遠距離攻撃に忍羽は硬直、直撃し、その勢いのまま壁に押し付けられる!
「ほらほら〜早く楽しませてなさいよ!」
歯を食いしばりながら立ち上がった。
突然、忍羽のポケットが微光した。
「忍羽…それって……」
「え、何これ!?」
ポケットを漁ると、何かカードのようなものが……
「それだ忍羽! 渡してくれ!」
「え? うん!」
忍羽がカードを飛ばし、それを人差し指と中指の間に挟み、受け取る。
「試してみる価値はあるな」
左腕のカードスロットにオレンジのラナンキュラスが描かれたカードを差し込んだ。
『Linker Shinobi』
「お、反応した。変身!」
蓋を押し出すと、オレンジの花びらが空を舞い、そして、形を形成した。
黒い布で口元を隠し、忍びのような服装にオレンジ色の装飾が施されており、背中には巨大な手裏剣を担いでいる。
そう、さながら忍びのような姿となったのだ。




