#42 アンダーコモン②
柊命は檻を蹴破り、勢いよく外に出た!
「待たせたな」
大剣を構えた。
「あら、出て来ちゃったの? なら、あなたの相手は私よ」
紫の髪をした魔法少女が、柊命の前に立ちはだかる。
「さっきはよくも不意打ちしてくれたな。もう容赦しないぞ」
「別に、不意打ちじゃなくても捕えられたけど」
2人の戦いが始まろうとしていた。
しかし、それを見ているわけにもいかない。
今は、目の前の敵に集中しなくては……
現状、残された武器は折れた剣と杖、そしてメリケンサックと化した銃だけだ。
……キツイか。
だがやるしかない。
赤い鎧の男に接近し、折れた剣を目元に向け刺そうとする!
しかし、腕を掴まれた。
それはもう見たんだよ!
剣を持っていた右手の力を緩めると、そのまま剣が落ちる。
それをなるべく低い位置で左手に収める。
コイツはさっきから視界の外で起きている事へと反応が遅い。
さらに、現在目元の半透過性のパーツはヒビが走り、視界がとにかく悪くなっている!
そして、こういったアーマーには目元以外にも弱点がある。
左手で、剣を敵の左腕関節を斬る!
「……!」
男は慌て、すぐに後ろへと下がった!
「やっぱりな。お前、結構体をアクティブに動かすタイプだろ? 動きやすいように明らかに関節部の鎧に隙間がある! 鎖かたびらを着ている様子も見えない! 言うなればちょっとゴツいニチアサのスーツと同じだな!」
「……マジか」
武器は、このまま折れた剣でよさそうだ。
「いよいよ見えたぞ、攻略の糸口が!」
駆け寄り、鎧の隙間を狙って攻撃を続ける!
男は慌て、防御が貧相になっている!
さらに、彼の目元をめがけ、1発の銃弾が叩き込まれた!
「遅くなってごめん!」
「忍羽!」
いいタイミングだ。
2人で押し、どんどんと追い詰めていく!
ダメージは確実に入っているはず!
だが、鎧の隙間を狙っているだけじゃ致命傷にはならない。
肝心なところこそ、鎧で隠すのだから当たり前だ。
……だんだんと海の方へと追いやれている。
あの重い装備で海に落としてやれば!
水中適応があるのかは不明だが、やる価値は十分だ!
これ以上な斬撃攻撃は無用!
剣を捨て、肉弾戦へと移り変わる!
互いに攻撃をいなし、止め、反撃をする!
しかし、受けて来た数々の攻撃によって確実に疲れと焦りが見えてきた!
隙の糸を見極め、デカい一撃を叩き込む!
「……!?」
もう、男は海のスレスレだ!
忍羽の方へと視線を送る。
その意図を読み、忍羽は残った銃弾を全て彼の目元に撃ち込んだ!
ヒビは、どんどんと広がっていく!
そして、ネズミのような機械を投げる。
彼の目の前にネズミが着地すると、男の体を這い上がり、歯車のような音を立てる。
刹那、ネズミの体から光が漏れ出し、爆破する!
そしてついに目元のアーマーが割れた!
男はその欠片が目に入らないよう、思わず目を閉じた。
「喰らえッ!」
その一瞬、煙の中に体を突っ込み、彼の胸元に助走をつけた強力なキックを浴びせる!
「……!?」
男の体は、宙へと投げ出された。
そして、そのまま勢いよく水中へと落ちていった!
「……ッしゃあ! 見たか!」
「やったね蒼馬!」
ついに男を倒した!
あとは柊命だけ……だ?
いつものように戦いは終わっていると思っていた。
しかし、今の彼がもうすでに満身創痍であった事を忘れていた。
いや、仮に最高の状態だとしても、結果は変わらなかっただろう。
柊命は、魔法少女を前に倒れていた。




