#41 アンダーコモン①
振り返ると、俺らの後ろには愛鈴と同い年であろう紫の髪をした短髪の魔法少女と、以前の赤い鎧のようなスーツを着た男がいた。
柊命が慌て、振り返る。
「お、おかあさま! やめてください! それは私の大事な……大事な!」
「愛鈴、何の立場でそんな事言えるのかしら?」
「……ッ! 私は! 私は自分の道を選んだの!」
「反抗期かしら……安心しなさい。その勇者とあなただけは記憶を消して生かしてあげるから」
「やめてッ!」
魔法少女と男は、こちらへとゆっくり近づいてくる。
「こんなの相手じゃ、直接襲うのなんて余興にもならないわ。レッド、相手をしてやりなさい」
「……」
男が、俺たちの前に近づく。
「忍羽は愛鈴を頼む!」
「う、うん!」
ここはもう、俺が戦うしかない!
竹刀入れから剣を取り出す。
「……」
次の瞬間、男が一気に近づき、鋼のような拳で殴りかかる!
あわてて剣でガードするが、一撃でヒビが入り、そのまま刀身が折れてしまった!
「うわ! 折れたぁ!?」
「甘い」
次の拳が腹にめり込む!
激しい衝撃が走り、その場に倒れる。
……いや、倒れちゃダメだ!
少なくとも、忍羽が帰ってくるまでは耐えなくては……
折れた剣を杖のようにし、急いで立ち上がる。
とりあえず、アイツは肉弾戦タイプのようだ。
だが、一度様子を観察する必要がある。
すぐに距離を取り、銃を構える。
残弾は5発。
ちょっと厳しいか。
離れた位置から、半透過素材のせいか防御の薄く見える目元に1発、銃を放つ。
が、その球は、男によって素手で受け止められてしまった。
「……マジか」
男はゆっくりと近づく。
遠隔技は……なさそうだ。
今の俺に出来ることは、隙をついて残り4発の銃弾を当てることだ。
逆に、俺の方から男に向かって近づいていき、ポーチから金属製の杖を取り出し、その頭部を突こうとする!
「……」
しかし、それも手で止められてしまった。
すぐさま一歩下がり、杖を頭部に向け振り続ける!
が、どれも腕で受け止められ、隙をつかれて首を強く掴まれる!
そのまま持ち上げられ、首を絞められたまま体は宙に浮く。
……今、確実に目が合ってる。
ぶらりと下がった左手に持った銃の引き金を、彼の目元めがけて、撃ち放つ!
完全に銃のことが目に入っていなかった男は受け止めきれず、目元にヒビが入った!
そして、拘束が解かれる!
一瞬で息を大きく吸い、強力な蹴りを彼の頭めがけて放つ!
足は彼の頭部に衝撃を与えたが、すぐさま足を掴まれる!
そして、そのまま放り投げられる!
コンクリートの床で体を擦り、摩擦が痛く、熱い。
「……この程度!」
すぐさま起き上がり、ヒビめがけて銃弾を一撃放つ!
弾は命中し、ヒビが広がる。
あと2発……行けるか?
再び男が一気に近づいて来て、袖と胸ぐらを掴まれ、そのまま柔道のように床に強く叩きつけられそうになる!
が、相手の手元を銃で1発撃ち、なんとか空中で逃れ、そのまま頭に蹴りを入れた!
そして、そのまま着地した。
あと1発、仮に目元にぶつけてもこれじゃ致命傷は与えられない。
ならどうするか?
……もう少しだけ無理してもらうか?
男が連続で殴りかかろうとする!
それを避け続け、だんだんと後ろに下がっていく。
そして、ある程度下がったところで、高く跳び、相手の頭をキックし、そこからさらに高く跳んだ!
そして、空中で一回転をし、地面を見る。
……この距離なら十分だ。
檻の鍵穴に向け、最後の一発を放つ!
そして、着地と同時に銃身で鍵穴を殴った!
柊命は檻を蹴破り、勢いよく外に出た!
「待たせたな」
大剣を構えた。




