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#37 異常事態

 彼女に先導され、路地裏などを通り、5分ほどでそのカフェに着いた。


「いらっしゃーい」


 誘われるがままカウンター席に座る。


 厨房には褐色肌に金髪のポニーテールをした少女1人だけがいた。


「コーヒー2つで」


 深夜23時にカフェイン投下しやがった。


 ま断る気もないけど、これもう今日はもう寝れないな。


「んで、話って?」


「この前渡したアレ、ちょっと出してみてよ」


「え? あぁ……」


 ポーチから取り出そうとすると、一瞬で発熱する。


 直接は触らず、袖で掴む。


「はい、これ」


 机の上に置いても、まだ熱は冷めない。


「熱いから気をつけて」


「ふーん、熱いんだ」


 少女が箱を触ると、鉄板を触ったときのように一瞬で手を引っ込めた。


「アッツい! 何これ!」


「気をつけてって言ったのに……」


「おかしいな……この物質にはこんな性質ないはず……いや、あるにはあるけど……うーん」


「どうしたんだ……?」


「あ、いや! こっちの話だから大丈夫!」


「ふーん……そういえば聞き忘れてたけど、この箱って一体なんなんだ?」


「これ? 君たちの知ってる言葉で言うならば修正力を無効化する物質ってとこかな? ほら、君この前の戦いで負った怪我まだ癒えてないでしょ? 本来ならあの敵を倒した時点で怪我はなかったことになるはずなんだよ」


「確かに……」


「それと、もう1つ本来修正力が働くはずだったときがあったんだけど、どこでしょーか?」


「わからん」


「返事早いね!? ちなみに正解は君の家にオオカミがいたとき。柊命って人は大元がいるって言ってたけど、実際には確かに修正力が働いてたんだよ。ほら、君の家は一切荒らされてなかったでしょ?」


「言われてみれば……部屋が一切変化してなかったなんておかしいか」


「ま、そんな箱がなんで発熱してるかは私にもわからないけどねー。あ、もう冷えたみたい」


「いや、見た目じゃわから……アッツ!」


「ははは! だーまさーれたー!」


「お前な……」


「お待たせしました、コーヒーです」


 2杯のコーヒーが席に置かれる。


「それじゃ、コーヒーも来たとこだし、本題話すね」


「本題?」


「うん、実はさ1つの提案をしに来たんだ」


「提案?」


「今、君はひとつの道を進んでいる。仲間たちと共にエヴォクション研究施設を探し、潰していくという道」


「あぁ、そうだな」


「仮にもし、私がもうひとつの道をあげると言ったら?」


「……は?」


「実はさ、私がこの箱を君に預けたのは、君がこの先の困難に対して進み続けることができるという確信があったからなんだ。でも、少々事情が変わってね、命の保障ができなくなってきたんだよね……」


「命の保証も何も、俺1回殺し合いしてるしな……」


「それに関しては私にも予想外だったけど、大丈夫そうだからそのまま見守ってた。だけど、すでに線路から大きく逸れてる。難易度で言えば、サイズの合わないトロッコで世界一危ないジェットコースターに乗ってる感じ」


「……だからどうしろと?」


「私がひとつの逃げ道を作った。あなたが望むならこの箱を手に入れる前の過去まで時を戻して、何も知らないままの日常に戻ることができるの。進むも戻るも任せるわ。でも、前者の場合は命の保障はしないけど」


「今さら戻れってのは、俺にとっても、仲間たちにとっても酷な話だ。命の保障なんて最初から求めてない」


「え? あーそっか。思ったより早く話ついちゃったな……」


「もう今さら戻る気なんてねーよ」


「あははー、やっぱり異常事態イレギュラーだ」


「?」


「あーいやいや! なんでもないよ!」


 コーヒーをひと口飲む。


「……うん? なんだ……これ……」


「それじゃ、明日に備えておやすみ。これは私からのせめてもの餞別だよ」


 急に瞼が重くなり、そのまま意識を失った。

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