#34 強いというより嫌い
男の背後から現れたのは、昨晩のあのドラゴンであった。
「うふふ、最高の餌やりの始まりよ〜!」
ドラゴンが雄叫びを上げながら翼をはためかせ、地上に2つの竜巻を生み出した!
竜巻はオレの方へと迫っていく!
後ろに跳び避けようとするが、まるで意志を持っているかのようにオレを追ってくる!
部屋が外ほど広くないのも相まって非常に厄介だ。
だが、外ほど広くはないため、ドラゴンも飛ぶことはできない。
つまり、攻撃自体は当てやすいのだ。
竜巻の合間を抜け、一気にドラゴンの眼前に迫る!
「焔天斬!」
炎を纏った大剣でその目を叩き潰そうとする。
が、しかし、その目玉は宝石のように硬く、一切の傷がつかない。
そして、ドラゴンと目が合い、すぐさま巨大な手で壁に打ち付けられる!
「ッ……目ん玉でこの硬さとか……化け物かよ」
「すごいでしょ〜うちの子」
「……予定変更だ」
ドラゴンが鋭い爪を振り下ろす!
それを剣で受け止め、弾き返すと、そのままドラゴンの股下を通り抜け、男の元へと駆け寄った。
そして、両手で低い位置から大剣で切り上げる。
「効かないわよ」
その剣はなんと、黒いオーラを纏った左手によって意図も容易く受け止められてしまった。
「マジか……!?」
「これは お か え し よ」
右手に先ほどの倍濃いオーラを纏い、腹を力強く殴った!
「ッ……!?」
尋常じゃない衝撃によって吹き飛ばされ、石の壁に荒く受け止められる。
石壁には、のめり込んだ跡が残った。
思わず受け身もできずに地面に倒れ込んだ。
「あら? この程度だったの? まだ遊びたいのに」
右手を床につけながら、ゆっくりと立ち上がる。
どっちも正面からだと無理そうだ……
ドラゴンの攻撃は押し返せたし、幸いにも力はそこまで強くない。
おそらくアイツは鱗の硬さに能力を振りまくってるのだろう。
つまり、顎の下にある逆鱗を狙うしかない。
昔、漫画でそこが弱点だって聞いたことがある。
ドラゴンに関してはそれで行こう。
問題は奥の男の方だ。
攻撃も防御も高く、もしかすればドラゴンよりも厄介かもしれない。
「面倒な奴らめ……」
「あら〜褒められちゃった」
「褒めてねえよ!」
地面に落とした大剣を拾い上げる。
この部屋でドラゴンに近づくこと自体は難しくない。
まずはそっちからだな。
再び足に力を込め、ドラゴンに近づこうとする。
しかし、横から割り入るように現れた竜巻によってはばかれる!
「なッ!?」
急ブレーキをかけ、ギリギリ立ち止まったが、風が非常に強く吹き飛ばされそうだ。
思わず後退。
ずっと進展なしだ。
「あーもう! マジでめんどいヤツら!」
だがやるしかない。
再び武器を構え直す。
……そして、左に視線を一瞬だけ移した。
ドラゴンは一切近づこうとはしない。
何故かは知らないが、この狭い部屋でブレスを使う気もないようだ。
相手は常に、こちらが近づいてくることを狙っている。
……少なくとも、1対1で戦おうとする場合はそうみたいだ。
左前方から、拳銃が空中を舞い、飛んでくる。




