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#22 花莝峯って誰?

1997年 11月21日 (FRI)


 その頃私は、山奥のとある里にて忍者の家系として生まれた。


 その家名は”洸ヶ崎”、里の2台名家としてかなり地位の高い家だった。


 そして、もう1つの名家が”不二宮”だった。


 洸ヶ崎は最新技術を多く取り入れ、不二宮は昔ながらの戦い方を継承していて、洸ヶ崎派か不二宮派かで、里はいつも真っ二つだった。


 でも、当時11歳だった私にはそういう事がよくわからなかった。


 ただ、里の学校では一目置かれていたし、一部の生徒からは異様に好かれ、一部の生徒からは異様に嫌われていた。


「洸ヶ崎さん、今日は私と一緒に帰ろ」


「うん! いいよ!」


「私も一緒に帰りたい!」


「えー不二宮もついてくるのー」


「いいよ!」


「こ、洸ヶ崎さん!?」


 当時、私は梨疾羅とは結構中が良かった。


 それこそ、毎日のようにどちらかの派閥の人間を巻き込みつつ一緒に帰っていた。


 家の位置は真反対だったため、ずっと校門の近くで喋り込んではいたけれども。


 結構、人間関係は順調だった。


 でも翌年……


花莝峯(かざね)! 不二宮の者とじゃれ合っているとはどういう事だ!」


「私が誰と関わってもどうだっていいでしょ!」


「いい訳ないだろうが! お前は次期洸ヶ崎当主となるのだぞ! それが将来不二宮の当主の嫁となる者と交友とは、一体どういうつもりだ!」


「仲良くやってけばいいじゃん! 元々は一つの家系だったんだからさ!」


「やめろ! 虫唾が走る!」


「はぁぁぁ!? もういい! こんな家継いでやらないんだから!」


 私は無我夢中に駆け出して行った。


 そして、気づけば里の入り口に着いていた。


 そこには、梨疾羅もいた。


「りとちゃん!」


 その呼びかけに反応して、彼女は私の方を見た。


 でも、その目はどこかうつろだった。


「りとちゃんも家出? 一緒に山を降りて街に出ようよ! 大人たちはまだ早いって里から出してくれなかったけど、ずっと、ずーっと行きたがってたもんね!」


「こうちゃん……いや、洸ヶ崎」


 何かがおかしかった。


「あなたの……せいだからね」


 梨疾羅は、クナイを取り出した。


「バイバイ」


 鈍く光るクナイが、振り下ろされる。


 脳は理解を拒んでいた。


 でも、本能的に避ける事ができた。


「なにやってんの……りとちゃん!」


「あんたのせいで父上に2度もぶたれた! 全部あんたのせいなんだ!」


「な、なんでよ!?」


「あんたが、アンタが悪いんだよ!」


 クナイが出鱈目に振り回される。


「みんな! みんな私を出来損ないって言うんだ! 洸ヶ崎の者と恥知らずに関わろうとする出来損ないだって!」


「それって私が悪いの!?」


「わからない……でも、こうしないともう、里にはいられないの……ごめんね」


 1本のワイヤーが、頭を強く打った。


 その勢いに倒れ込み、何が何だか、気づけば村の入り口を通って逃げ出していた。


 森を越え、川を越え、時に刺客に襲われて、必死に逃げ出した。


 2日後、私はボロボロの体を引きずって街に降りた。






2025年 4月11日 (FRI)


「その後、私はとある探偵に拾われて、今は養子の身として暮らしてるの」


「なるほど……よくわからなかった」


「そ、そっか」


 話している間に、2人ともおにぎりを食べ終えていた。


「てか、花莝峯(かざね)って?」


「あー、私の本名。”洸ヶ崎 花莝峯”。古臭い名前だから、戸籍を登録するときに月宮 忍羽に変更したんだよね。ちなみに月宮は拾ってくれた人の苗字。今はもう養子になったからさ」


「そうか……」


「梨疾羅もね、15歳になってからは度々街まで降りて私に襲いかかってきたの。ただ、忍者として世を忍ばなくちゃいけなかったから、昨日のアレみたいな派手な戦い方じゃなかったけどね。アレは暗殺とかじゃなくて本当に殺しにかかるときの不二宮の伝統技なの」


「その不二宮の血ってのは、クナイで木を折るバケモンなのか」


「……ねぇ蒼馬?」


「なんだ?」


「あと2日で、私の全てを叩き込む。私の分も背負って、戦ってくれる?」


「……ああ」


 立ち上がり、手を出す。


「絶対に勝つぞ」


 忍羽はその手を掴み、立ち上がる。


「うん! 絶対に勝とう!」


 前に進むため、過去を断ち切るため。


 日は下り月が昇った。

最近、数十話先のところを書いてるのですが、終わりの目処が付いてきました。


多分、来月中には終わるんじゃないかな。


筆が動く限りは……

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