#2 パンとか軽いものは後から入れる
スーパーで買い物を終え、気づけばもう3時、そういえばファミレス行ってない。
でもまあ、その分いっぱい食材を買ってきた。
今日はロールキャベツかな。絶対にキャベツ余るけど……
左手に重いエコバッグとトートバッグを持って、アイスが溶けないよう急いで帰る。
「にしても……」
トートバッグから先ほどの箱を取り出す。
これ、結局貰っちゃったけど何なんだろうか?
非現実的な体験とは言っていたが……
突然、エコバッグに後方から何物かの手が突っ込まれた。
「え、何!?」
驚き振り返ると、ピンクの髪をした少女がバッグの中を漁っている。
「あ、ヤバっ!」
少女は気づくと、慌ててあんパンだけ取り出し、逃げていく。
「あっ、おい待てッ!」
少女は角を曲がり、その先にいた赤髪の少年の手を掴み、逃げていく。
「理由次第では別にくれてやるから待てよ!」
そんな言葉を気にも留めず、どんどんと距離を開けられていく。
コイツら、小学生と中学生くらいだろうに、俺より速ぇ!
俺結構運動神経いい方だぞ!
ダメだ、このまま逃げられたらなんかスッキリしない!
なんか盗まれたって結果だけ残る!
彼女らが道を曲がると、運良く相手は突き当たりに追い込まれた!
1,2秒の間の後、俺も追いつく。
「別に危害加えたりする気ないから、ちょっと返してほしいなーって、何か理由あるならあげるからさ」
相手の警戒を解こうとしながら、ゆっくりと近づく。
が!
二人は驚くべき跳躍力で民家の屋根の上までひと蹴りで逃げてしまった。
「……なんだありゃ!?」
その光景に驚き戸惑い、数秒の硬直の後、ようやく意識が帰ってくる。
「……ま、いいか」
あんパンはまた今度買えばいいや。
それより今は帰って漫画の続きを描かな……ん?
二人が先ほど立っていた場所に、何かが落ちている。
拾ってみると……おもちゃのステッキ?
子供向けアニメとかの変身ステッキらしきおもちゃが落ちていた。
先ほどの少女が落としたのだろうか?
……さっき盗みしてたわけだし、警察に届けたら多分取り戻しに来ないよな?
またこの道を通ってれば会えるか。
そのままは良くないし、おもちゃをバッグにしまい、帰路に着く。
なんか今日はよくわからないものが手元に集まるな……
カードタイプの鍵をタッチし、家の扉を開く。
「ただいまー」
誰もいない家に声が響く。
……いや、微かに何か聞こえる。
俺、一人暮らしのはずなんだが……
背筋が凍った。
何かものすごく嫌な予感がする。
荷物を玄関に置き、少し警戒する。
……動物の唸り声?
一度、玄関の扉を閉め逃げるため、外に出ようとした。
しかし突然、それは閉まっていたリビングの扉から姿を現した!
鋭い牙、爛れた目、灰色の汚れた毛並み、腐臭、そして低い唸り声!
それは、オオカミのような、ゾンビのような、化け物であった!
しかも3匹!
脳が混乱する。
硬直3秒、現実に向かい合う。
これ……なに?化け物?UMA!?
オオカミたちの目を見ながら、少しずつ後退し、外へ出る。
そして、ゆっくりと玄関のドアを閉め……
「……!」
オオカミが身を挺してドアに体当たりし、玄関ドアが大きく開かれる!
突然の事に驚き、俺はそのまま、尻餅をついてしまった!
3匹のオオカミが世に解き放たれた。
陽浴びても死なないタイプのゾンビだ……
ゆっくり後ずさり、距離を取ろうとする。
下がった分、近づかれる。
こりゃターゲットにされたな。
少しづつ、少しづつ下がり、ときに曲がり、庭の倉庫に近づく。
こうなったら……賭けか。
倉庫の扉に手をかける。
倉庫の扉を開けようとした次の瞬間!
「焔天斬!」
掛け声と共に、激しい炎の一撃が雷のように1匹のオオカミに直撃した!
残り2匹のオオカミは一歩下がり、威嚇する。
火が収まり、骨のかけらも残らなかったその場所に、一人の少年が降り立った。
赤い髪にハイファンタジーの主人公のような装い、そして右手には全長1メートルほどの大剣、それには鈴のキーホルダーが取り付けられている。
「大丈夫か?」
振り返った少年の目は鮮やかな青色だ。
そして、その姿はまさしく、先ほどあんパン少女と一緒にいた少年であった。




