表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/86

#18 背中は遠いから

「かかってこい」


「私の鉄線殺法、見せてあげる」


 なんとなく技名で察した。


 こんなのさ……あからさまじゃん。


 絶対ワイヤー使うって。


「”鉄鎖”!」


 彼女の両手の袖から3本ずつのワイヤーが飛び出す。


 だが、それは俺を狙ってではなく、周囲の木や停留所の柱に向かって飛んでいった。


 そして、ワイヤーがそれぞれにまとわりつくと、今度は袖からワイヤーを引き抜き、投げ、また別の木や柱へとまとわりつく。


 ワイヤーが張り巡らされた。


「……あぁ、そういうタイプか」


「触るとケガするよ」


「だろうな……」


 これ……杖じゃ多少分が悪いか。


 遠隔系の何か……持ってないんだよな……


「どうしたの? 攻撃してこないの?」


「ちと準備が必要でな」


「そ、じゃあこっちから行くよ!」


 少女はワイヤーの隙間を華麗な動きで潜り抜け、一気にこちらへと近づく!


「なッ!?」


 杖を構え……いや、間に合わない!


 彼女のクナイが顔の表面を掠め取った。


 体を反らせ回避しようとしたが僅かに遅れた。


 彼女の猛攻は止まらない。


 次々とクナイを振り回し、襲いかかる。


 反った状態から足に力を込め、バク転をし、その足でクナイを蹴る。


 が、本来は消費物。


 彼女は懐からまた新しいクナイを取り出した。


 次の一撃が振り下ろされる。


 鉄製の杖で受け止め、火花が散り、杖は僅かに凹んだ。


 ただでさえ焦げついてるのに、あーもう使い物にならねぇよ!


 買い替えの運命を背負った杖をひたすらに振り、クナイを受け止め続ける。


 どんどん後ろに追いやられてしまう。


「ちょうどこの辺りかな?」


 彼女は手を止め、明後日の方向に6本のクナイを投げた。


 一体何をして……



 次の瞬間、巨大な質量が全身に襲いかかった。



 それは、ワイヤーによって縛り付けられ、根本あたりが抉れた木であった。


 その勢いのまま吹き飛ばされ、反対側の木へと激しく打ち付けられる。


 ヤバ……口から血の味がする。


「そのワイヤー、そんなに馬鹿力があんのかよ……」


「特注だからね。あと一撃で終わりかな?」


 あと一本で木の根本抉れるクナイバケモンだろ。


 で、残り5本のクナイで進行方向上のワイヤー処理と。


 エイム力もバケモンだな。


「さ、おとなしく降参したら? 別に取って食うわけじゃないよ。人質にね」


「やなこった」


 後ろの木に寄りかかりながら立ち上がる。


「ここらで一発、自立したいんだ。もう足は引っ張りたくない」


 自覚は結構あった。


 最初に下水道までついてった辺りから、何かを守りたいでもない、助けたいでもない。


 ただ興味でついていった。


 結果は上手くいけてたのかもしれない。


 しかし、あれは軽蔑すべき愚行であった。


 あのときも、昨日も、たまたま上手くいっただけだった。


 ここで、1人で戦えてこそ、アイツら安心させられるし、俺も心置きなくついて行ける。


 実績が欲しかった。


 ただそれだけだ。


「……来いよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ