表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第1話 「お前、今日から俺の世話係な」

この学園で、平民は“存在しないもの”として扱われる。


大貴族の子弟だけが通う、王立魔導学園。

リオは、孤児院の推薦で唯一入学を許された“特例中の特例”だった。


存在を消すように生きてきた。

誰にも逆らわず、目立たず、ただ静かに魔導書を読み漁る日々。


だけど――


「お前、今日から俺の世話係な」


「……え?」


その一言が、すべてを変えた。


声の主は、ユリウス・ファルクレイン。


魔導師ランクA、文武両道、貴族中の貴族。

生徒会長であり、“王族の次に偉い”とも囁かれる人物。


その彼が、学園の食堂で倒れかけたリオを軽々と抱き上げ、

そのまま個室へと連れ去ったのだ。


「お前、ろくな飯も食ってねえな」


「……その通りですが、だからってなんでベッドに運ばれるんですか……!?」


「顔色悪い。体温低い。食事も管理できてない。

だったら、俺のとこで面倒見る。――それだけの話だ」


「……いや意味わかりません!」


リオは叫んだ。


だがその瞬間、ユリウスがふと真顔になった。


「嫌か?」


「…………」


ずるいと思った。


その声が、思ったよりもずっと低くて、

本気で“俺のことを心配してくれている”ように聞こえて。


「……嫌じゃないです」


そう答えてしまった自分に、翌日めちゃくちゃ後悔した。


* * *


「これからお前の部屋はこっち。俺の隣のスイート。

制服はオーダーメイド。魔導書は新品。

三食は俺と同じにして、食事は必ず完食」


「ユリウス様!? それ、完全にペットじゃないですか!!」


「……違う。“伴侶”だろ」


「はぁああああ!?!?」


耳まで真っ赤になるリオ。


でも――ユリウスは真顔だった。


「お前、気づいてないだろうけど。

お前の魔力量、平均の五倍。しかも“読解系魔法”の天賦持ち。

この学園でも、お前に敵う奴はそういない」


「……え?」


「だから俺が囲う。“誰にも渡さない”ようにな」


そう、彼は言った。


不器用で、不愛想で、でも言葉ひとつひとつに嘘のない――


そんな男が、リオの世界を塗り替えていく。


(俺、いま、とんでもない人に“拾われて”しまったのかもしれない)


静かな予感が、リオの胸の奥で、じんわりと熱を帯び始めていた。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

実はこの物語、アルファポリスにも先行で投稿しております。

アルファポリスの方も応援していただけたら、とっても励みになります☺️

(もしよろしければ、感想やお気に入り登録なども大歓迎です!)

☆アルファポリス版はこちらから:

https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/884145263

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ