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隣人  作者: まさかの!だいきち
3/4

二の場合



何か用ですか?


あいつが現れた。こんなに顔を見たのは初めてだ。


白い生地の上下。フリース?ボア?とりあえず、もこもこの生地だ。

もこもこ。

もこもこ。

モコモコ。

フワフワ。


俺とは正反対。真逆の存在。


不安そうな表情。


俺は無言で台所から持ち出した(あれ)を、目の前の生物の腹に押し当てた。


ドス!


ドス!


ずん!ずん!ずん!



フワモコの生物のくせに、硬い。いや、重いと言った方が正しいだろうか。


意外と血が出ない。ドラマなんかでよく見る、 床一面血の海 のような物を想像していただけに、拍子抜けだ。


ずん!ずん!ずん!


ずん!ずん!ずん!



もう何回、押し当てただろうか。十回、いや、二十回だろうか。


冷静になる。

誰かに目撃されないだろうか。このアパートは古く、六部屋中、三部屋が空き家だ。


俺の部屋の先隣り。つまりこいつの隣の部屋の住民は、ほとんど見たことがない。

顔を見せるのは、たまのゴミ出しくらいだろう。あ、この前近所のスーパーで見かけた。


歳の割に若い格好をしていた。(レゲエ好き)とでも言おうか、とにかくボブ・マーリーのような人物だ。


それにしても、俺は何故、こんな事をしているのか。


隣人の謎のリズムに無性に腹が立ち、俺とは真逆の人生を歩んできた、いや、歩むであっただろうこのフワモコの腹に、今もなお、(あれ)を差し込み続けている。


ずん!ずん!ずん!


ずん!ずん!ずん!


止まらないのだ。


二十、三十、四十、



五十、六十、七十、



流石にもう腕が限界だ。そして一つ。一つ。ひとつ。




俺はこの後のことを、何一つ。


考えていない。



これからどうしよう。


目の前にある、今やもう、フワモコではなくなった、


硬い、(物)俺はただ、立ち尽くした。



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