一の場合
何か用ですか?
何か用ですか?それはそのままの意味であろう。
普通の人ならば、何か用ですか?(大した用でないならばイマすぐにお引き取りください。)のカッコの部分がある場合が多いが、目の前の雑巾は、
そう
雑巾には、カッコの部分がまるでない。
あの・・・
音・・・
あの音どうにかならないかな。
心で呟く。
心とは裏腹に俺は無言で(あれ)を差し出した。
ぱぁぁぁぁ♡
て・て・て・天使様だ!!!!!
そう、雑巾は天使様だったのだ。まさか、まさか、まさか隣にこんな生き物が生息していたとは。
雑巾は仮の姿だったのか。
天使様はジェスチャーで部屋へ入るよう促した。無論、俺には断る理由がない。
入るとそこは、ありきたりなランニングマシンと質素なローテーブル、使い古された座椅子があった。
あの・・・
俺が切り出す前に天使が口を開く。
あの、うるさかったですよね。すみません。
いや・・・
私、これをしないと眠れなくて。でも、ありがとうございます。本当にうれしい。
私、ついてますね。こんなにイケメンなお隣さんが居るんですから。
イ・イ・イケメン!!!
イケメンと天使が発声している。イケメンとは俗にいうイケてるメンズの事で、イケてるメンズの事で、そう、俺とは正反対の生物のはずだ。しいて言うならば、台所の
(あれ)
を、差し出した事くらいだろうか。
その後は想像に難しくないだろう。
結果、俺は歩き始めるのだ。いや、歩き始めたのだ。