もうどうにでもなれー
翌朝はまた葉子を家に送るがてら出勤。休み時間にSNSでやり取りしながら定時まで働き、帰宅したら一日の汗を洗い流してログインした。
昨夜の分のお仕事をやってないので、まずはそれに取りかかる。これは昼前に何とか終わらせた。最近よくつるんでるアニスとエレンの様子を見ようとSNSを覗けば、今日は迷宮探索に出かけたらしい。二人で何処まで行けるか試すのだとか。
彼女達なら、上手くやれば七階くらいまでは行けると思う。それより下は階級四の魔物ばかりになるし、人数が厳しくなるんじゃないかな。二人はあれでまだ階級三だから。階級四になって魔導器を増やすなり強化するなりしないと、八階以降は辛いはずだ。
同じ程度に戦える仲間がもう一人二人いれば、何とでもなるんだろうけどなあ。
まあ、それは百狼隊の人達が考える事か。せっかく所属してるんだからねえ。
「……終わった?」
「はい。今日はこれで終了です」
リーフがヒルダ様を連れてやって来た。ソファで一息入れてる僕の隣に座って、ぎゅっとくっ付いて来る。すごい密着率でどきどき。
そして頬から首筋から耳……耳は駄目! と、ともかく、ところ構わず口付けた。
「ちょ、な……どどどどうしたんですか!?」
「……センリになってる」
今、ちょっと笑ったね?
何だか、昨日から随分積極的。原因はまあ、ね。いよいよ定まったからだろうね。
これまでははっきりと何をいつどうするとか、決めてなかった。それが昨日、次の春って明確になった。彼女が心変わりしない限り僕は反故にするつもりなんて無いし、このままならそのようになる。
それが嬉しい……って事なら良いな。
『そうに決まっておるわ。実に愛らしいではないか』
うん。滅茶苦茶可愛い。
正直このまま、今日は骨抜きになってても良いかなって。
あ、でも先にお茶を出さないと。二人の分が無い。
「リーフ様、お茶を用意致しますので今しばらく……!」
「ラン、今はリーフ様に身を任せなさい。主を楽しませてこその従者ですわよ」
「は、はあ」
そう言いながら、ヒルダ様は僕のカップに口を付けてる。良いんですかそれで。
まあもう、いいか。執拗に耳を攻められ始めてそれどころじゃないし。
だから耳は駄目なんだってば……!
ああ、酷い目に遭った。
「た、楽しんでいただけましたか……?」
「……うん。楽しかった」
「本当に良い声で鳴きますわね、ランは」
お恥ずかしい限りです……。
ちなみに首筋もわりと駄目。耳と同時に攻められたものだから大変だった。キスマーク残ってたりしないよね? 自分じゃ見えないからわかんないよ。
ようやく解放されたので、ほっと一呼吸してからお茶を二人に用意。僕のカップも帰って来た。
ちなみに淹れたのは紅茶。
「これは……初めての香りですわ。このような茶もあったんですのね」
「……スパイス?」
香りが香辛料みたいな種類の物を淹れてみた。こういうのは専門店でも行かないとなかなか無いんだけど、青の扉商店に一種類だけ並んでたのを見つけたんだ。説明読んだ瞬間には購入してた。面白い香りで、僕は結構好きだ。
二人も興味深げに味わってるし、気に入ってくれたみたい。
お茶請けはクッキー。バターの風味を強くした物で、これは僕の手作り。お茶との相性は悪くないと思う。二人の様子を見ても問題は無さそうだ。良かった。
「ところで、ラン。今日はこのままこちらに留まるんですの?」
「はい。ゆっくりしていようかと」
「ならばしっかりと、リーフ様に尽くしなさい。主人に選ばれた伴侶として」
妖艶に微笑むと、ヒルダ様は立ち上がった。リーフに向けて一礼して、工房を立ち去って行く。二人きりにしてくれたのかな? あ、鍵がかかった。またですか。
そうなると今のリーフは危険だ。こちらをじっと見つめて、顔色は紅潮している。のしかかって来る彼女からはいつにないくらい色気が感じられ、否応無しにどぎまぎとさせられた。
真っ直ぐな翡翠色の瞳が、僕の瑠璃色の瞳を覗き込んでいる。一瞬、揺らめいた。
ところで工房が出来た時のここではこういう事しないって話、もう立ち消えちゃってるよね。どうしてそうなったんだか。
「……ラン。……嫌だったら、言って」
何でいきなり弱気になった?
つい、ふふっと笑ってしまう。可愛い子だねえ、本当にもう。
「嫌なわけないじゃないですか。でも、手加減はして下さいね」
「……善処する」
それしない奴だよ?
微笑んでみせれば、何となく安堵したような雰囲気になった。でも次の瞬間、僕の服にその手がかかる。そして脱がそうとして来た。しかもまた上手く出来ずに手付きが怪しくなり始めてる。短気? 実は結構短気なの?
「やります! やりますから破かないで!」
「……ごめん。何故か上手く外せない」
わざとじゃないよね?
魔力操作で端末を操り衣服を全部仕舞って下着姿になる。いきなり全裸になるのは、少しばかり抵抗があったのよ。
リーフも同じように下着姿となって、ソファで寝そべる僕の上に膝立ちで跨がった。この眺めはやばい。でも彼女も同じみたいで、見下ろす目が爛々とした輝きを宿していた。
「……写真、撮って良い?」
「良いですけど、僕も撮りますよ?」
「……構わない」
唐突に始まった撮影会。僕は下からのアングルで二枚程度撮っただけだけど、リーフは何枚も撮影してた。色々注文されて、それに応えてポーズを取って、二十分か三十分くらいはそうして楽しんでもらった。
でもまだ終わらなかった。
「……じゃあ、一枚脱いで」
「どちらを?」
「……悩ましい」
もうどうにでもなれー。
この後滅茶苦茶撮影されて、滅茶苦茶あれこれされた。
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名前 ラン
種族 ハーフエルフ
性別 男性
階級 五
筋力 六
敏捷 一八
魔力 二四
魔導器 強化属性剣
拡張機能 変幻自在 小領域作成
魔術 魔力操作 魔力感覚
魔力封印
技術 看破 識別
軽業 跳躍
耐寒
精霊 風猫ルリ
恩寵 旧神ナルラファリア
ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一
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