これで十四人だ
午後になった。洸と渚の二人はパラソルの下でのんびりするそう。ルリと一緒に荷物を見ててくれる。
僕は他の三人に手を引かれて背中を押され、海へと連行される。水飛沫を上げて騒がしく入り、浮き輪に掴まった。同じく掴まってるのはフレア。葉子とファリアは引っ張って行く側だね。
フレアは、輝くような笑顔で僕を見ている。本当に楽しそうで、充実している事がよくわかる素敵な笑みだ。
「楽しいですね、駆!」
釣られるようにして、僕も笑顔を浮かべた。泳げないと聞いた時は心配したけど、全然大丈夫みたい。心から楽しんでくれてる。良かったあ。
でもまだ彼女は浮く事が出来るようになったくらいのはずだから、僕が気をつけておかないといけないな。
浮き輪は僕の足がぎりぎり届かない深さで止まった。安全のために魔力操作で少しだけ浮いとこ。
何でこんなところまで来たのかはわかってる。魔力感覚に反応のある六人をちらっと遠くに見た。さすがにここまで追っては来ないようだけど、その表情はまだ諦めていない様子だ。
さっきいやらしい目で僕達を見ていた人達だ。ナンパか、もしくはもっと質の悪い連中だろうか。どちらにしろ人が楽しんでるところに水を差す、しょうもない人種だ。本当にろくでもない。
遠目に警戒するつもりで見ていると、彼らは違う人達に目を付けた。背の高い人と背の低い人の二人組に向かって行く。全くもう、はた迷惑な。
「放っとけないんで、ちょっと行ってきます」
三人をその場に残し、僕は水に潜った。魔力操作でスピードアップして急行する。浜辺に着いたら、早足に変更。なるべく急いだ。
六人が声をかけようとすると、女性……と言うか女の子? 背の高い一人は表情を曇らせて、背の低い一人は露骨に嫌そうな顔をした。当たり前だけど乗り気なわけないよね。
ただ、二人は僕を見て目を大きく開いた。はて、何かあったのかな?
「あんた、ラン!?」
「こ、こんにちは……」
おや、よく見ればアニスさんとエレンさんかな? 髪と瞳の色が違うから、気付くの遅れちった。
ならちょうど良い。こちらに引き込んじゃえ。
「どーも。皆さん僕の連れに何かご用で?」
「え、あれ? 君、向こうにいなかった……?」
「いつの間に、こっちに?」
戸惑ってる戸惑ってる。
でもあまり気にしない人もいる。そういう人は、ナンパを続けようとするね。
「ちょうど良いや。俺達と遊ばない? あっちの三人も合わせたらちょうど六人じゃん」
「あそこにいる筋肉ダルマも呼ぶ事になりますけど、まだしつこくします?」
「う……」
洸に向けて手を振れば、のそりと立ち上がって壮絶な笑みを浮かべた。そして渚を伴って歩み寄りつつ、迫力満点に声を張った。
「お前ら、俺の連れに手え出そうってのか?」
その眼光、その威圧感は明らかにその筋の人。これは酷い。あまりにも恐ろしかったようで、六人は尻尾を巻いて逃げ去る事しか出来なかった。
これに懲りてナンパなんてやめてくれると良いんだけど、きっとそうはならないんだろうなあ。
ともあれ、二人は助けられた。それで良しとしようか。
…………あ、フレアどうしよう。
アニスさんは立花愛里沙と、エレンさんは緑川花蓮と名乗ってくれた。そして、緑川さんは改めて僕を見て大笑いした。
「あんた、男なんでしょ!? 何て格好してんのよ、あはははははは!」
「ちょっと花蓮! あの、ごめんなさい」
「いえ、多少の事は仕方ないと諦めてるので」
この二人はあちらでもこちらでも変わらないのね。
申し訳なさそうに頭を下げる立花さんは赤いワンピースの水着。露出の控えられた少し地味なデザインだ。一方で笑いが止まらない緑川さんは緑のビキニ。ほんの少し、極めて僅かにある胸が寄せて上げられてる。大層可愛らしい。
髪型はあちらと同じで、ボブカットと三つ編み。髪型を変えてないのか、それともたまたまか。
結局フレアの事があるので、海の中の三人にはそのまま遊んでてもらった。連絡には魔力を飛ばして文字を形作るという方法を用いる。ざっくりだけど助けた二人の事を伝えれば、葉子がこちらに頷いた。
そしたら僕達はパラソルの下に場所を移して、少しだけ話をする。
「あんた達、関東にいたのね」
「私達はこの近くに住んでるんです。なので毎年遊びには来るんですが」
「毎年ナンパされるのよ。鬱陶しいったらないわ!」
じゃあ適当にあしらえたのかな。でもまあ、いいか。こうして会えたんだし。
二人は幼馴染みで立花さんが高校二年生、緑川さんが高校一年生だそうな。若い。
「まさかランが年上だとは思わなかったわ。同い年くらいに見えるのに。とんだ詐欺ね」
「お酒飲める年なんですよね?」
「こいつは俺と同いど」
「年齢の事はやめましょう、ね?」
「一号と同い年いいい!?」
「えー!?」
おのれ洸め……。大笑いしてるし、くそう。
ぽすぽすボディブローするけど全くだ。
「効かねーな」
「このっ、このっ」
「何やってんのよあんた」
「ランさん、可愛い……」
おっと、こちらも名乗ろうか。順に簡単な自己紹介をしておく。ついでに名前で呼ぶようにしてもらった。これは洸達も同じだ。結婚して姓が同じになってるから、紛らわしいしね。
「それなら私達も名前で構いません。ね、花蓮」
「ま、愛里沙がそう言うならそれで良いわ」
との事なので早速そうする。
花蓮さんはきつめだけど、主導権握ってるのは愛里沙さんなのね。何か面白い。懐いてる感じ?
せっかく会えたし、フレンド登録を頼んだらしてくれた。愛里沙さんは喜んで、花蓮さんは渋々。スマートフォンのアプリがあるからゲーム内じゃなくても登録出来る。便利。
これで十四人だ。少しずつだけど増えてる。嬉しい。でもほとんどが年下。悲しい。
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名前 ラン
種族 ハーフエルフ
性別 男性
階級 五
筋力 六
敏捷 一八
魔力 二四
魔導器 強化属性剣
拡張機能 変幻自在 小領域作成
魔術 魔力操作 魔力感覚
魔力封印
技術 看破 識別
軽業 跳躍
耐寒
精霊 風猫ルリ
恩寵 旧神ナルラファリア
ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一
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