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何とかするのだな。自慢の、年の功での

「お世話になりました」


「いえいえ、こちらこそお世話になりましてございます」


 そんなやり取りをして、僕達は宿を出た。皆さん総出で見送ってくれて、頭を深々と下げられてしまった。ちょっとむず痒い。


 ちなみに宿泊費は当然僕が支払った。高校生には出させられません。


 良い宿だったし、また来よう。




 帰りものんびり歩いて駅まで向かい、お昼を食べてから電車に乗った。その後は僕の最寄り駅の方で彼女も降りて、二人で繁華街をふらふらとする。


 柄はしっかりハンドバッグの中に忍ばせた。魔力感覚がばっちり仕事してくれてる。魔力操作もあるし、すごく心強い。


 あちこちにある怪我はさすがに目立つので、途中で隠れて葉子に治してもらった。もうそのままにしとく意味は無い。綺麗さっぱり全部治っちゃった。すごい。


 さて、今日もまだまだゴールデンウィーク期間。町は人でごった返していて、葉子がはぐれないようになんて言って手を握ってくれた。失敬な、はぐれないよ。今なら魔力感覚があるから尚更だ。


 ……嬉しいから放さないけども。


 そうして歩いてると、何か微笑ましく見られてる気がした。放っといてくれます?




 あまり遅くならないように、日が暮れる前に帰る事を提案した。ヒルダ様も心配してるそうだしね。


 前回同様葉子を家の近くまで送る。道中は今回の旅行の話で過ごした。色々あったから話題に困らない。何だかんだで、楽しかったなあ。


 結局三日も一緒にいたわけだ。魔物の襲撃はまさかの出来事だった。でも犠牲者は見事に無し。それもあってこうして、良い思い出として振り返れてる。葉子の迅速な対応のおかげだ。


「……駆だって、怪我してまで頑張った」


「いや……オーク相手に手も足も出せなかったので、活躍した気にはなれないんですよ」


「……四人の命を助けたのに?」


「あはは……滅茶苦茶心配されましたね」


「……酷い事されてるはずだから早くって、すごく急かされた。わたしは魔導器を持ってるって思い込んでたから、急がなかったけど。……ごめ」


「謝るのは無しですよ。魔導器も持ってないのに一人で行くと決めたのは僕です。それは僕の責任であって、葉子が負うところなんて少しもありません。むしろ僕の軽率な判断で気に病ませてしまって、そちらの方が申し訳ないくらいですよ」


「……それこそ、わたしが自分で気にしてるだけ。駆が悪く思う必要なんて無い」


「だったらお互い、上手く行って良かったという事で済ませましょう。ね?」


「……うん」


 そう、何もかも上手く行って、悪い事なんて一つも無かった。全部結果は上々だ。僕以外に傷付けられた人は誰もいなくて、僕だって怪我はしたけど代わりに魔導器を使えるようになれた。それにもう治った。


 ほら、何の問題も無い。







「改めて、魔導器を持つ者同士って事でよろしくお願いしますね!」


「……うん、よろしく……!」


 差し出した僕の手を葉子は握る。声から少し明るい調子が窺えて、ほっとしながら見上げた彼女の顔を見て僕は、目を見張った。


 いつだって無表情で、面白い事があっても吹き出すくらいしかしなかった彼女が、微笑んでいた。微かなんてものじゃなくてはっきりと、照れた様子で頬を桃色に染めて、葉子が笑っていた。


 少し傾き始めた日に照らされて、花の咲くような笑みを見せた。僕の手を両手でしっかり握って、ほっとしたような明るい笑顔で、少しまなじりを滲ませて。


 ああ、まずい。これはずるい。目が離せない。


 普段笑顔なんて見せないのに、こんなタイミングで不意討ちするなんて酷い。逃げられない、誤魔化せない、真っ直ぐ見つめる事しか出来ない。


 駄目だ、彼女は駄目だ。一度距離を置いて……いや、それも駄目だ。きっと傷付ける。


 顔が一気に熱を帯びて、心臓が強く早鐘を打ち始めた。


 気付かされた、自覚させられた、ずっと目を背けていたのに。疲れるって、面倒臭いって言い聞かせてここまで来たのに。




 ……僕は多分、とっくに惹かれてたんだ。







 背中を見送って帰る道すがら、僕は頭を悩ませていた。


 だって、これからどんな顔をして会えば良いのかわかんない。普通に顔を合わせられる自信が無い。十代の時に恋愛なんて諦めて、ずっと考えないようにしてたんだ。その方面のレベルなんて一のまんまだよ。


 ああもう、正直やっぱり面倒臭い……。


『くくく、難儀な奴よ』


 そう言わないでよね。


『しかし、ようやくこうなったか。長かったのう』


 え? 何それ、どういう事?


『お主の気持ちなど、とうに気付いておったわ』


 嘘お!? 本当に!?


『わかり易かったがのう。お主、葉子の事となると途端に甘くなりよるからな。基本的には何でも許し、受け入れて、且つ喜んでおったろう。我やキリーを受け入れなんだのも、葉子への気持ちがあったからだの』


 えー……。でも、指摘されるとそんなような気もする。


 ま、まあそれはそれとして! 今日この後ログインするじゃん。絶対会うよね。また後でって言って別れたし。


 普通に喋れる自信が無い!


『何とかするのだな。自慢の、年の功での』


 そう言って、ファリアはくつくつ笑う。酷い。


 恋愛レベル最底辺の僕に何が出来ようか。ゲイル助けてくれないかなあ。


 ああ、今は北に行ってるんだっけ。ヒルダ様の話も、他の従士に聞かれて僕に連絡して来たらしいし。


 ヒルダ様が引っ掻き回してくれると気楽になるね。期待させてもらお。




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  四


  筋力  六

  敏捷 一六

  魔力 二〇


 魔導器 強化属性剣

拡張機能 変幻自在   小領域作成

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     識別

     軽業     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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