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見られた?

 何はともあれ、露天風呂だよ。早速湯を溜め始める。その間に浴衣とタオルを用意しておいた。


「本当に今はいいんですか?」


「……うん。ゆっくりして」


 葉子はまだ入らないらしい。なので僕が先に入る事になった。夕食までにはまだ時間があるし、のんびり出来そうだ。


 湯船いっぱいに湯が溜まったらコンタクトを外し、手早く服を脱いで身体を流す。一通り洗って汗と汚れを落としたら、足からそっと浸かった。


「ああ……気持ちい……」


 声が出ちゃうのは不可抗力だよね。


 空や景色を眺めながらのお風呂は最高だ。湯船も広いし、言う事が無い。寄りかかって脚を伸ばし、見えるものを楽しみながらゆったりと時を過ごす。幸せ。


 じんわりと身体が温まり、一方で湯から上に出ている顔は風を受けて少しひんやりとする。その空気も自然に溢れるこの土地のせいか清浄に感じられて、心地良さとともに肺を満たす。


 緩やかに流れる穏やかな時間の中で、いつしかうとうとと微睡み始めた。


『これ、眠るでない。風邪を引くぞ』


 おっとと、そうだね。気付いたら湯も冷めて来ちゃってる。そろそろ出ようか。


 湯から上がってタオルに手を伸ばす……と、かちゃりと音がした。


「……あ、ごめん」


 すぐに扉は閉じられ、後には赤面した僕だけが取り残された。


 彼女の視線は、完全に下へ行ってて……見られちゃった……。




 そしてさらに着替え終わってコンタクトを付けようとして気付く。


 ……これも、見られた?


 彼女が気付いてない事を祈るしかないかな……。







 葉子は僕があまりに遅いから、心配になって様子を見に来てくれたらしい。お礼を言っておく。


 彼女は頬を少し染めて、こちらに視線を向けられないでいた。何か、目の色の事は気になってないみたい。気付かなかったかな? 良かった。


 少し居たたまれなくなってしまったようで、お風呂を使う事にしたようだ。湯船に湯を溜め始めて、支度に取りかかってる。


「……あ、これ。替えの下着」


「え? は?」


「……持ってないよね?」


「ええまあ、そうですけど……」


 準備の良い事で。


 服はまあ、浴衣があるし二日間くらいなら気にしないけど、下着は気になってたんだよね。彼女もどうやら同じらしい。


 受け取った物を見てみると……やっぱり女性用か。こちらの僕は一応、男性用のを使ってるんだけどなあ。子供用の物で幅の狭いローライズなボクサーブリーフを。これもボクサーブリーフだけど、女性用ってあれが付いてる事は考慮されてないから前がすとんとしてる。大丈夫かな……。


「……サイズはフレアに聞いた」


 あらそう。確かにぴったりっぽい。あちらとこちらで体型は変わらないからね。


 まあいいか、ありがたく使わせてもらおう。




 葉子が湯から上がる頃には、空はすっかり茜色に染まっていた。窓からの眺めもまた趣を変えて、とっても綺麗。写真撮っとこ。明るい時間のも撮ってあるから、時間帯による変化を楽しめる。


 そして浴衣姿の葉子もぱちり。……何と言うか、色っぽく見えて危ない。


 僕がそんな事をすれば彼女もやる。ついでに二人でも撮っておいた。


「……あれ、化粧してた?」


「あははは……はい。ファリアがしろって……」


「……あ、そっか。ファリアも出る?」


「良いのか!?」


 もう出てんじゃん。


 葉子は黒いビスチェドレス姿で現れたファリアに一瞬びっくりしながら、少し考える仕草をして浴衣を持ち出す。着せるつもり?


 一旦隣室……寝室かな? そちらにファリアを連れて移動し、襖を閉じる。


「着させてくれるのか、感謝するぞ」


「……任せて。それを脱いで……え、消えた……」


「便利であろう? 一張羅だがの。それでこれを羽織るのだな?」


「……うん。前で重ねて……そう。後は帯を……あ、下着要る?」


「構わん構わん。このままで良いぞ。この方が色っぽかろ?」


「……わたしも」


「やめておけ。ランが困惑するぞ」


「やめて下さいね!?」


 全部聞こえてんのよ!


 再び開いた襖から現れたファリアは、思わず見惚れるくらいに色っぽく見えた。わざわざ胸元も広く開けていて、立ち姿も歩く姿も艶がある。


 黒い髪だし顔立ちも凹凸に乏しくすっきりな彼女には、浴衣って似合うね。こうして見るとファリアは日本人に近いんだなあ。


「どうだ? 惚れたか?」


「ああはいはい、惚れました惚れました」


「扱いが雑ではないか……」


 惚れたか、なんて開口一番に言われたらねえ。


 雰囲気ががらっと変わって、これも良い。すごく新鮮。


 もちろん写真に収めさせてもらった。彼女一人でも僕達と三人でも何枚か撮って、葉子と二人でご満悦。いやあ、楽しいなあ。良い思い出になるね!


 それからは三人でたわい無くお喋りした。撮った写真を見ながらあれこれ話したり、葉子にファリアがしなだれかかって絡んだり、あまり騒がしくならないよう注意しながら楽しく過ごす。


 ここぞとばかりにファリアは葉子との仲を深めていて、葉子もよく聞いてよく話している。あまり接点の無かった二人だから、この機会はちょうど良かったかもしれない。


 ……来て良かったね。葉子に感謝だ。




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  四


  筋力  六

  敏捷 一六

  魔力 二〇


 魔導器 強化属性剣

拡張機能 変幻自在   小領域作成

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     識別

     軽業     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 何の脈絡もなくファリアが普通に出てきたけど葉子は現実世界にファリアが出てきてる事に何の違和感も抱いてない?というかランちゃんも何も気付いてない? あと、室内で下駄っておかしいのでは?…
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