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小領域作成を試す事にした

 77話を一部修正致しました。誤解を招く言葉で書いてしまっておりましたので、確認いただければ幸いに思います。

 端的に説明しますと、77話・78話の内容に即するよう「お互いに経緯を話し合った」という言葉に変更しています。


 ご指摘感謝!


 翌日僕達がログインする頃にはソーセリエントからの増援が到着して戦力が増強されていた。これで千を遥かに越えるだけの数が集まった事になる。さらにトリシアからの戦力も向かっているところだという話だし、フリントクルズの備えも盤石となりつつある。


 魔物の襲撃は今のところ無く、偵察兵も定期的に戻っているそうだ。その情報では一両日中に進軍して来る事は無いようで、ひとまず今日は戦いにならない状況だと言える。


 ちょうど良いので、僕はゲイルに頼んで小領域作成を試す事にした。


「何だそりゃ?」


「それを確かめるんですよ」


 カーマインも連れてゲイルとレジーナの客間を訪ね、ホルダーから魔導器を抜く。その先端にはエーテル核がはまり込むように浮いている。


 それを見て、ゲイルは早速食い付いた。


「お前の魔導器、何かおまけ付いてねえ?」


「混沌核からのドロップアイテムです。エーテル核って言う物ですよ。魔導器の機能を拡張してくれるんです」


「マジかよ!?」


 この話には、お茶していた二人も反応した。


「ランちゃんはまた新しい事を見つけたのね」


「どんな機能があるんっすか!?」


 まずは変幻自在を見せた。刀身が反ってサーベルに、波打ってフランベルジュに、そしてばらけて蛇腹剣にと変化する。これにはゲイルとカーマインがテンションを上げた。


「ほー! 良いじゃねーか!」


「何っすかその最後の剣! 格好良いっす!」


「しかしガリ〇ンソードとはな。確か俺らが生まれた頃にやってたアニメが元ネタだったよな?」


「ですよ。これ自体は色んな創作物で登場してますよね」


 元ネタは本当古いのよね。


 変幻自在のお披露目はそこそこに、今日の用件に移る。


「小領域作成は、安全な場所を作る機能だそうです。それが外側からどんな風に見えるのかを確認したかったんですよね」


「安全地帯か……。それでログアウト出来りゃ、迷宮の探索が捗るな」


「おー、そういう使い方ですか。なるほど」


「一日のログイン時間じゃ限界があってな」


 やっぱり深い階層まで行くには、時間がネックだよね。それが解消出来るなら、僕も最深部を目指し易くなる。


 迷宮も混沌の領域なんだ。あそこにも混沌核があるのなら、行って魂を助けたい。


「それじゃ始めますね」


 展開に五分かかるのがもどかしい。でも領域を作るって事を考えると、多分それでも早いよね。大人しく待とう。


 ところで、レジーナが興味津々にこちらを見てる。もしかして、入りたい? 内側は僕だけの予定だったんだけどな。


「レジーナ、こちらに来ます?」


「良いの?」


 と言いつつ入って来た。ふむ、展開中なら出入りは可能っと。


「オレも良いっすか!?」


 まあ、外にゲイルがいてくれれば良いか。了承すればカーマインも中に入った。


 ちなみに領域を包む壁は触れた部屋の構造に沿って展開された。部屋の隅で始めたんだけど、壁や家具などは対象外なのかその表面を象るように壁が作られてる。それでも部屋の中で十メートルは広い。もっと狭くならないかと思ったら、ちょうど良いくらいに縮小してくれる。便利。


 形状も案外自由が利いた。なので球形じゃなくて立方体にする。この部屋の片隅に瑠璃色の箱が出来てる感じ。


「外からは現状、どのように見えてます?」


「青い壁がだんだん濃くなってるな。そっちからだってそう見えてんだろ?」


「はい。このままだと、迷宮で使うには目立ちますね」


 いきなり青い壁があったら魔物達だって不審に思うはず。それじゃ安全地帯としては使い辛い。解除したら魔物に囲まれてた、なんて事になりかねないんだから。


 レジーナとカーマインは触れた感触が面白かったのか、二人でぺたぺたと壁に触れて遊んでる。微妙に弾力があるんだよね、この領域の壁とか床って。硬いゴムみたいな触り心地って言うと近い。


 展開中でも触れるみたい。という事は、中から外へは出られない? 外からは入れていたし、ちょっと気をつけないといけないな。


 ゲイルも触ろうとして、触れずに手が内側に入ってた。でも引き抜く事は出来てる。完全に入ってしまわなければ大丈夫なわけか。色々調査出来てて助かるね。


 そうして五分が過ぎ、領域は完成した。外は全く見えず、完全に隔離されている。ここからは端末のSNS頼りだ。


 おっと、早速ゲイルからメッセージが来た。


「おい、消えちまったぞ」


「え!?」


「お前らのいた場所に、何にも無くなっちまった。今まさに、そこに立ってるぜ」


 ……これはすごい。出来上がってしまえば、姿を完璧に隠せてしまうのか。


 後は、ログアウトを試すくらいかな?


「では、僕がログアウトしてみます。お二人は僕の姿が消えるまでの時間の確認をお願いします」


 僕がログアウトしても領域は維持されるのか。それもこれなら確かめられる。二人にこちらへ入ってもらったのは、ちょうど良かった。


 快諾してくれたので、僕は早速ログアウト。少し待ってから、再びログインする。すると領域は維持されたままだった。


「ランちゃんの身体は、安全地帯と同じく十秒で消えたわ」


「すごいっすね、これ!」


 ログアウトしても維持されて、ログアウトにかかる時間は短い。本当に安全地帯なんだね。これは使えるぞ。ゲイルにもこの間の変化を聞いたけど、特に異常無かった。


 今度は領域の解除だ。ゲイルには領域があった場所にそのまま立っていてもらう。これでもどうなるか次第で、実用を諦めなければならない可能性がある。


 さてどうなったかと言うと、壁や床がゆっくり透けてゆくのに合わせてゲイルが同じようにゆっくり現れた。ちょうど僕に重なってて、二人が吹き出してしまった。もちろんわざとどうなるかそのまま留まる。そうすると領域が消え始めて一分になる頃、ゆっくりこちらが押し出された。こうなるわけね。


 そうして領域は消えた。


「ゲイル、僕と一つになってどんな感じでした?」


「殴りたくなったな」


「いや、そうじゃなくて」


「何にも感じなかったぜ」


 ほうほう。影響は全く無し? これは本当に便利だなあ。


 詳細はゲイルにも話して共有する。迷宮探索に使えるという結論で一致して、今度時間を合わせて潜ろうなんて話にもなった。


 最後にもう一つ確かめる。その内容は、領域内でログアウトした後に僕が領域を解除して移動しちゃったらどうなるか、というもの。これはゲイル一人に頼んだ。もう一度領域を展開して二人で中に入り、ゲイルにログアウトしてもらってあちらでの五分後にログインしてもらう。その間に僕は領域を解除して、部屋の反対の隅に移動。これで確認は可能なはず。


 あちらでの五分後って事で、僕達は二十分程待った。そして、ゲイルはログアウトした時に立っていただろう場所からゆっくり現れた。領域を解いた時みたいに、すうっと。


 やっぱり問題無いみたいだ。使えるなあ。


「本当に便利ね」


「だな。強えってより便利な奴になって行くな、お前は」


「良いでしょう?」


「……師匠って、強さに拘りがあんまり無いんっすね」


「無いですねえ。強さと便利さだったら、僕は便利さの方を選びますよ」


「だろうな」


「ランちゃんらしいわね。私も便利な方が良いわ」


 だよね! さすがレジーナはわかってる。強くても戦いばっかりしてるわけじゃないから……ないはず。


 ……おかしい。振り返ってみると、戦ってばかりいた気がする。


 あれー? 僕、あんまり戦いとか好かないんだけどなあ。




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  名前 ラン

  種族 ハーフエルフ

  性別 男性

  階級  四


  筋力  六

  敏捷 一六

  魔力 二〇


 魔導器 強化属性剣

拡張機能 変幻自在   小領域作成

  魔術 魔力操作   魔力感覚


  技術 看破     識別

     軽業     跳躍


  恩寵 旧神ナルラファリア


  ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一

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