ジューシのねーちゃん!
今日のところは特に変わった事も無く、無難に狩りをこなしてまだ明るい内に野営地へと帰還した。そうすると、ちょうどホークさんが探しているところだったみたい。
「見かけたら声をかけておいてくれって頼まれたよ」
「わかりました、ありがとうございます」
従士仲間の男性が教えてくれた。早速向かう。
中央の天幕を覗けば、ホークさんが相変わらず忙しそうに仕事していた。書類、多過ぎない?
「ラン、来てくれたか」
「はい、何をしましょう?」
「食料の箱と水の樽を持ち帰ってもらいたいのだ。セシルに引き渡してくれればそれで大丈夫だ」
こちらにあっても仕方ないものだね。新しく詰めるのにも使うのかもしれない。快く引き受けた。
「今日はそれで時間になるだろう。隊舎でゆっくり休んでくれ。次は四日後か?」
「そうですね、そうなると思います」
「わかった。ではまた、四日後にな」
「はい、では失礼します」
ホークさんが疲労困憊になってない事を祈ろう。
倉庫に行けば空の箱と樽がわかり易くまとめてあった。これを持って帰れば良いわけだね。手早くインベントリに仕舞う。一応倉庫の中も確認すると、配置が少しだけ変わってたので写真に収めておく。次来た時はこの通りに並べよう。
そしたらまた村を通り抜けさせてもらう。すると子供達が楽しそうに遊んでた。和む。
「ジューシのねーちゃん!」
「スカートのジューシさんだ」
目立つね、やっぱり。
軽く手を振ってみると、何人か興味を持ったのかこちらにやって来る。小さい子が多いかな。五歳とか六歳くらいだと思う。可愛い。
脚を揃えてしゃがみ、目線を合わせた。
「どうしたの?」
「あんね、ジューシってなに?」
おっと、それがわかんなかったか。何て説明したらわかり易いかな……?
「領主様はわかる?」
「うん! いちばんえらいひと!」
うん、ちょっと違うけどまあ、問題無いか。
「その領主様のお手伝いをしてるんだよ」
「へー」
「リョーシュさまのおてつだいさん!」
「とーさんとかーさんのおてつだいまだできないの」
「もっとおーきくなったらがんばる!」
話が飛んだぞー。お手伝い繋がりだね。
「偉いね。お父さんもお母さんも、きっと喜ぶよ」
頭を撫で撫でしてあげよう。滅茶苦茶良い笑顔で見られた。何この可愛い生物。
次々頭を撫でる。……何か、増えてる?
まだお手伝い出来ない年頃の子供達がいっぱい、と言っても七人くらいだけど集まってた。良いんだろうか。
ふと見た女性がぺこぺこと頭を下げてたんで、笑顔を返しておく。任されましょ。
それからしばらくの間、子供達に思う様振り回された……。
子供達が糸でも切れたかのように眠気を訴えたので、木陰の芝生へ連れて行って一休みにする。ぱたぱた走り回ったりあれこれお喋りしたりと全力で遊んでたら、こうもなるよね。僕にくっ付いたり膝枕にしたりと皆自由だ。
上着は暑くて脱いだから、今はベスト姿。シャツも袖を巻き上げてる。木陰でのんびりすると、ちょうど良いくらいだ。
……抱き付いて来てる子が温かくて、やっぱりちょっと暑いかな。
滅茶苦茶懐かれて嬉しい反面、帰らなくて良いのかなと心配になる。行きは三時間もかからなかった。だから時間的な余裕は、僕にはある。でも早く着くに越した事はないと思うんだよね。
まあ、これも従士のお仕事と思おうか。領民との触れ合いで従士の印象が良くなれば、きっと後々プラスになる。特にこのランドバロウ南部は、ゴラースティン家の横暴のせいで為政者への不信感が募ってるはず。それが少しでも改善されるなら……という言い訳。
だって、可愛いんだよ。振り払ってなんて行けないってば。
そうして一時間くらい寝かせたところで、子供達を起こす。ここで長く寝てしまうと、夜に眠れなくなるからね。それでもまた少し遊ばせた方が良い。そしたら遅くとも二十二時には、こてんと眠ってくれる。きっと。
全部勘だからさ。子育ての経験なんて無いよ!
子供達はまだ眠そう。でも僕を見るとすぐに起きてくれた。で、また振り回されるって寸法ですよ。可愛いなあもう。
今は十六時半くらい。炎狼の月が近付くと日が長くなるのはこちらも同じようで、まだまだ明るい。これで一時間くらい遊んだら、子供達もお迎えが来るかな?
というわけで、一時間後。お迎えは来た。お母さんだったりお婆さんだったりお祖父さんだったりと色々だけど。それで、何でも湯を浴びに行くらしい。驚いてたら、従士と戦士が合同で作ったと教えてくれた。もちろん自分達で使うためだけど、村の人達にも解放してるんだとか。偉い。
そんなの、僕も浴びてくに決まってるじゃん。
「それじゃ、もう少しお願いしても構いません?」
と言うと、そのお母さんは女の子をすっと。
「あっと、僕はこれでも男なので……」
「え」
うん、まあ……そんなのばっかりだよ。
なので、男の子の面倒を見る事になった。
「ねーちゃん、にーちゃんだったの?」
「そうだよー」
「スカートはいてんのに?」
「スカートをね、渡されちゃったんだよ」
「あはは! へんなの!」
本当にね。フレアめ……。
浴場の建物は、まるっきり銭湯だった。作った従士と戦士ってプレイヤーかい!
中もしっかり男女別で、入ってみると想像以上に銭湯だ。脱衣所には扉の無いタイプだけどロッカーがあるし、一休み出来る長椅子もある。タオルも貸し出してるみたいで、一人一枚利用して良いそう。懲り過ぎでしょ。嬉しいけどさ。
子供達にルールをしっかり守らせて、僕も一枚借りる。インベントリを操作して着てる物を全部脱いだら、さっと腰に巻いた。
……何見てんのさ。
「いや、あはははは」
「男……なんだよな?」
「ですよ?」
「あのくびれはどう考えても……」
「セクシーでしょ」
胸を隠して振り返る形で背中を見せる。生唾飲み込むな。
ちなみに従士仲間である。狩りの後のひとっ風呂らしいよ。背中の一つも流してあげたいけど、今は子供達優先。わいわい賑やかな男の子四人を連れて、浴場の扉をからからと開けた。
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名前 ラン
種族 ハーフエルフ
性別 男性
階級 四
筋力 六
敏捷 一六
魔力 二〇
魔導器 強化属性剣
魔術 魔力操作 魔力感覚
技術 看破 識別
軽業 跳躍
恩寵 旧神ナルラファリア
ID 〇二六〇〇〇〇〇〇一
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ラン「サービスシーンですよ!」
ゲイル「男じゃねーか」
ラン「まあ良いじゃないですか。後ろ姿はちょっとしたものですよ?」
ゲイル「それで良いのかお前は……」
ラン「女性のサービスシーンなんて、ファリアやヒルダ様で充分足りてますからねえ」
ゲイル「漏れなくお前のサービスシーンでもあるな」
ラン「眠らせて下さい……!」




