異変1
自分のことを整理しよう、書いてみようと思い、書き始めました。
※休載中です!
読んでくれていた皆さん申し訳ないです。
12/9の活動報告に書かせてもらっています。
2017年6月8日。私はきっとこの日を一生忘れないだろう。いや、忘れてほしくないと心から思う。
その日が、私が病気をはっきりと自覚した日だった。
その前から、忘れっぽいなと思うことは多かった。忘れることが少なかった私は、さっきまで何をしていたか分からなくなっても特に疑うことはなく「最近忘れっぽいぜ!はっはー!」くらいで全く気にしてなかった。
それでも、その回数は少しずつ多くなっていった。少しずつ、でも確実に回数は多くなり、寝不足かなとか、ストレスかなとか、その原因を考えてみて、睡眠時間を増やしてみたりストレス発散してみたりと行動に移していた。
重なっていく微かな異変は、粉雪が少しずつ地面を覆い積もっていくように、私の無意識の中に不安を募らせていった。
あれ?今日何をしないといけないんだっけ?
あれ?今何を話そうとしたんだっけ?
そんな事がどんどん頻度を増やしていく。何かがおかしい。でも、きっと疲れているだけだと流すばかりだった。
8日。忘れっぽさを理解していた私は、言われたことをメモにとろうとした。箇条書きにするために黒い丸を書いたのと同時に、私の頭から書くべきことは消えたのだ。ほんの数秒前に聞いたことを。
忘れてしまった、という表現は合わない。それは、勝手に、無理やり、否応なしに「消えていった」のである。
「な、何を、書くんだっけ……?」
それは勘違いだと思った。ありえないと思った。まさか、まさかそんな事が、と。
さっき訊いたことは分かってる。それでも訊いた。理解して、もう一度メモに書こうとしたが、書こうと意識をメモに向けると、もう聞いたことは頭から消えていた。
何かが、何かがおかしい……
それは恐怖だった。恐ろしくて、でも周りにどう伝えたらいいのかわからなくて、それでも何とか伝えようとした。
すぐに忘れてしまう。
その時は記憶が消えてしまうというピッタリな表現は分からず、ただ「忘れてしまう」と周りに伝えた。
どれだけ真剣に伝えても、「疲れてるんだ」「大丈夫大丈夫。私も忘れること多いし」「考えすぎ」という友達の優しくて、無情な言葉しか返っては来なかった。
中には「私も忘れるけど?」と、まるでオーバーに言い過ぎだと非難するように、冷たく睨む友達もあった。
違う!おかしいんだ。おかしい!絶対におかしい!
それでも、確実に異変に気づいているのは私だけだった。