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湯グラドルしる  作者: 織田 涼一
第2章:聖女とダンジョンアタック
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アンデットダンジョン確定

「この広い部屋の中央に、階段が一つ」

「佐々木さん、ここはボス部屋だと思います?」

「何とも言えないけれど、こんなど真ん中に階段があったら戦闘の邪魔だよね」

「メルディさん。階段が移動するって事があるんですか?」

「聞いたことがありません。ただ、出来たばかりのダンジョンに入った事がないので……」


 メルディの暮らす国も、ダンジョンはいくつかあるらしい。

ダンジョンには難易度があるようで、ドロップ品目当てで賑わう場所がある。

中には訓練の為だけにダンジョンに入る冒険者もいるが、それは資金に余裕がある坊ちゃんに多いようだ。


「考えていても仕方がないよね」

「そうですね。今回は行ける範囲で、頑張る予定だから」

「ねえ、さっきのオーバーキルってなーに?」

「あ……柚さん、ごめんなさい。アキラ君が強すぎて、過剰防衛をしてしまったんです」

「いや、正当防衛とかはないから……」

「無理をしていないなら、弱いより強い攻撃が良いに決まってます」


 メルディのフォローに、少しほっとする。

モンスターを倒すのは初めての経験だったし、倒しそびれたら後ろにいるのは戦闘に不慣れな三人だ。

今回はスケルトンだけだったから良かったけれど、アンデットダンジョンだと油断は出来ない。

あくまで傾向なので、次の階層でここが本当にアンデットダンジョンなのか確定するだろう。


「暗いですね」

「柚姉、メルディさん。灯りをお願いしていいですか?」

「じゃあ、僕はバットだね」

「佐々木さん、合図をするまで前に出ないでくださいね」


 階段をゆっくり下りていく。階下は闇が広がっていて、さながら肝試しの雰囲気だ。

柚とメルディさんの灯りは、思ったより辺りを照らしてくれない。

これでは本当に肝試しっぽくなってしまうので、どうしようか考えていると急に灯りが強くなった。


「柚さん、ナイスです」

「まこと、これなら大丈夫?」

「ありがとう、柚姉。球形で明るすぎない光を維持するなんて凄いね」

「ふふーん、もっと褒めてもいいのじゃよ」

「柚さん、何キャラですか?」

「よく分からないわ。たまーに、こういう喋りをする人をブログで見たの」


 Sキャラをきどっていても、柚の中身は結構まじめな性格だった。

その分染まりやすいので、強気のキャラを演じてもらっている。

柚の近くにいる人達は一般ウケする女性が多いので、同じ路線で行くとキャラ的に負けてしまう。

本当に相談される相談役なので、身内贔屓もなくはないけど、柚には頑張って欲しかった。

階段を降りきると、地下二階についた。ここは見渡す限りワンフロアで、先は灯りの関係で見えていない。

でも、その前に特出するというか、嫌でも目に入ってくる光景があった。


「ここは霊園でしょうか?」

「うん、普通に墓地だね。洋風チックだけど、地面が土なのは気になる」

「え? 墓地ってあまり舗装されてないよね?」

「そうですけど、そうじゃないんです」

「佐々木さん、普通の人は分かりませんよ」

「え? え?」


 佐々木さんからの忠告。

それは安いB級ホラーのように、いきなり地面から生えた腕によって全員に周知された。後ろの三人がショックを受けた様子はない。ただ、あの伸び切った腕で、どうやって地面から這い出てくるか興味があった。


「これが俗に言う、『シ○ラ後ろ』かぁ」

「佐々木さん。よく分かりませんが、目の前で起きてますよ」

「うん、分かってる。じゃあ、冷静に階段を少し上がろうか」

「あ……そうですね」


 階段を降りきった場所なので、少し上れば多分セーフティーゾーンだ。

あまり腕を使うでもなく、それでも這い出てきたモンスターは、佐々木さんの鑑定によるとゾンビだった。

食人鬼グールでもなく、餓鬼がきでもない。ただのゾンビのようだ。

緩慢な動きで階段に殺到する姿は、デパートに行くおばちゃんや、特売に群がる主婦を連想させる。


「まこと、今失礼な事考えてなかった?」

「いや、別に……。見えない壁があるみたいで、後ろから押しのけようとしてますね」

「前の階の敵が少なすぎたのは、この階にリソースを割いたからかな?」

「なんか嫌な分析ですね」


 リポップがどのくらいになるかは気になるが、安全に敵を倒せる機会なのは良い事だ。

ただそうなると、柚か佐々木さんの出番が多くなる。

チートにレベル制が導入されているなら、ボーナスステージなんだけどなぁと思った。


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