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湯グラドルしる  作者: 織田 涼一
第2章:聖女とダンジョンアタック
22/27

特訓

 日曜日はホームセンターに行くことにした。

あれから夜に話し合いの場を設け、やっぱり武器が足りないという結論に至った。

更に佐々木さんが正義感を出して、「僕も前に出て戦うよ」と言ってきた。


「武器かぁ……」

「ワンドやスタッフも、どこに売っているか分からないんだよね」

「ハンマー系なら、トンカチからきねまで置いてあると思いますが……」

「当たるかな?」

「難しいと思います。後、リーチも短そうです」


 ダンジョンでなければ、ポールウェポンもありかもしれない。

ただ、どの武器を選ぶにしても、それを売ってくれる場所が圧倒的に足りなかった。

おじいちゃん達に頼まれた買い物を先に済ませ、四人でホームセンターを一周した。


「ねえ、マネージャー。これなんかどう?」

「木製バットですか?」

「うん、金属バットだと危ないけれど……」

「それくらいなら、扱うのも難しくないかもしれないですね」


 佐々木さんが持っている会社のカードで、好きな物を買って良いと言われているらしい。

スポーツショップで、最初に目に入ったのが野球用品売り場だ。

柚と佐々木さんの会話で、モンスターを殴るのに金属バットがダメで、木製バットが良い理由がよく分からなかった。

二人が納得しているので、そこはつっこまない事にした。


 その後に目に入ったのがゴルフ用品売り場で、佐々木さんはゴルフバッグを迷わず選択した。

ついでにウッド数本とアイアン数本を入れて、そこに木製バットも入れると謎バッグになってくる。

二人ともゴルフは付き合い程度には出来るらしいけれど、今回は振り方が違うのでなるべく前に出て欲しくはない。

とりあえず今選んだ物を購入して、メルディに必要なものや花屋関係の売り場を回って色々購入した。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 帰り道に柚が、突拍子もないことを言い出した。


「ねえ、杖って魔法使いが使う奴でしょ?」

「うん。柚姉は心当たりがあるの?」

「うーん。アユちゃんと、『今度U○Jに行きたいね』って話しててね」

「柚さん、遊びの話はまた今度で……」

「マネージャー、そうじゃなくて。あの有名な映画のじゃダメなの? ハ○―の奴」

「「あぁ……」」


 『オリ○ンダーの杖』という店で購入出来るようで、キャラクター専用の杖があって選べるらしい。

ただ発動体としてどうかと聞かれたら正直分からない。組分け帽子みたいなものがあったり、杖が使う人を選んでくれたりするなら楽なんだけど、もし柚が杖に選ばれた時に異変が起きたら結構怖いものがある。

ただ柚はあの世界の主役ではないし、売り物の杖は魔道具ではないので、多分問題はないと思う。


「それって、佐々木さんも行く予定ですか?」

「うん。もし行くとしたら、僕が保護者かなぁ?」

「マネージャー、保護者はいらないんですけど……」

「佐々木さん、柚姉のことをお願いします」

「うん、任せといて。杖も考えておくよ」


 食料品売り場にもドラッグストアーにも寄り、ついでに漢方薬品の店にも行った。

そこで気になったのは薬用人参・葛根湯かっこんとう・ウコン等だった。

なんか、飲みすぎとか風邪に効きそうな感じだけど、妙に魅かれるものがあったので、佐々木さんに買ってもらった。

他には果物ナイフにジューサーミキサー、メモリのついたコップに、漏斗と専用の紙も買ってもらった。

この感じだと、液体タイプの薬が出来そうな気がする。佐々木さんは、消石灰を購入したようだ。


 おじいちゃんとおばあちゃんは家が賑やかになったと、柚と佐々木さんとメルディの事を歓迎していた。

朝の手伝いはみんなでパーっと片付け、おばあちゃんは料理に力を入れている。

孫やお客さんに美味しいものを食べさせたいと思うのは、どの世界でも共通のようで、おばあちゃんにとってはメルディや柚に料理を教えるのは楽しいらしい。

それを佐々木さんに話したら、「まこと君がこの家にいるのもだよ」と返されてしまった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 月曜の午後は柚をおばあちゃんに預けて、ダンジョンに三人で向かった。

あのダンジョンでは柚の魔法がキーになりそうなのは分かるけれど、その前に俺と佐々木さんの【錬金術】と【付与魔術】がキーになると思う。

とりあえずスキルを発動させるには、ダンジョンの魔力の範囲内にいなければ効率的に出来ない。

三人が一列に並び荷物を持ち、前の人の肩に手を乗せると、ダンジョンを隔てる壁に入る事が……出来なかった。


「あれ?」

「メルディさん?」

「もしかして……」


 メルディさんのスキルは、佐々木さんの鑑定でもよく分からないらしい。

でも、【聖なる右手】【補助する左手】のスキルのうち、右手のスキルが関係していることは確かだった。

そうなると柚と二人の時限定でしか発動しない、もしくは効果が弱いということになる。

それでは緊急時に逃げられない可能性もあるので、今日はメルディさんにスキルの練習をお願いした。


 佐々木さんは一生懸命メモをしているので、放っておいても大丈夫だと思う。

誰よりも厨二力ちゅうにりょくがあり、それが良い具合に魔法の習得に役立っている。

前回も『石壁』を立てて、それを倒して押しつぶすというような、バリエーションまで見せた。

少し離れた場所で、ゴルフバッグから木刀を出し、素振りを始めた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 剣道の打突の際に出す掛け声は、何も威圧の為だけにある訳ではない。

そこには体を廻る気の充実具合を確認し、それを集中力に換えて剣に乗せる。打ち終わった後も、心は必ず残しておく。たとえ相手が卑怯な手で最後の悪あがきをしようが、驕り高ぶらず心構えが出来ていれば対処が出来る。


「メン! メン!」


 それぞれがそれぞれに、課題を持って行動出来ている。

立木稽古から、今度は踏み込んでの打ち込みの練習に移った。


「剣が軽く感じるな……」


 それ程、強く踏み込んだ気はしていない。

相手に飛び込んで胴を薙ぐ技が得意なので、それと同じように踏み込んだつもりだった。

しかし、道場でいう開始線から相手の位置まで、一気に相手を捕らえられそうな距離まで軽やかに飛ぶ事が出来た。

遠くまで飛びすぎたせいで、剣が疎かになってしまったのは失敗だった。周りを見回すと、佐々木さんが走ってきた。


「まこと君。今飛んだよね?」

「佐々木さん、見ていたんですか?」

「うんうん。もしかして、今のはスキルかな?」

「あ、えーっと。そう言えば【突進】ってスキル持っていましたね」

「無意にかぁ。剣術も剣道を習っているから、考えて使ってなさそうだし」

「これって、威圧も関係あるんでしょうか?」

「それは多分、敵意を集める挑発っぽいスキルなんじゃないかな?」


 【錬金術】も重要だけど、前衛として立つ俺には、こっちの方を先に伸ばす必要があるかもしれない。

問題は盾と鎧を使って戦う重戦士や騎士系で戦うか、華麗に舞う剣士として戦うかだった。

確か【初級騎士パック】って書いてあったんだよなぁ……。

そんな事を思いつつ、休憩にはフルーツジュースでも作ろうと思っていた。


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