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湯グラドルしる  作者: 織田 涼一
第1章:聖女が事件を連れてきた
14/27

スキル

「これから、どうしよう?」

「まこと君、こういう時ってどうすればいいのかな?」

「これって、ジャンルはどっちですかね?」

「ハイファン……、いやローファンなのかな?」

「二人とも、そろそろ説明してよ!」


 佐々木さんとの共通の話題は、投稿型の小説だった。

柚もサポートをする佐々木さんも、空いている時間の有効活用は仕事を円滑に行う上での命題だ。

現在の柚は『健康オタク』『Sキャラ』『資格取得の勉強』を空いた時間に行っている。

主にブログやSNSを中心に発信しており、その他にリミアの営業活動も行っていた。


 応急手当の終わったメルディは、不安そうな顔をしている。

今は話を止めない方が良いと思ったのか、柚の表情を注意深く見守っていた。

柚にメルディの食事が済んだか聞いて貰う。まずは、お腹を落ち着けて不安要素を排除した方が良いと思った。


「……というのが、最近の小説で多いんだ」

「柚さん。大分短い説明だったんだけど、戻ってこれてラッキーだったんだよ」

「じゃあ、メルディさんは?」


 食事も終わり、お茶を飲みながら説明が終わった。

召喚された勇者や聖女は、苦労の末魔王を倒すと、強大な力を持て余され不幸になる話が多い。

最近はその辺を学習した主人公が多く、使命から逃げて辺境でスローライフをするようだ。

異世界から現代にやってきた場合は、何故か農業をすることが多い。


「どうやってここに来れたかが分かると、戻れる方法が分かるんだけどな」

「そうだね。メルディさん、どうやって来れたか分かる?」

「※※、※※※※※※(正直、分かりません)」

「分からないって……。ねえ、何で私だけ話が分かるのかは?」


「あぁ、それは転移の特典かな?」

「まあ、一般的すぎるよね」

「まだ説明してないこと多いんじゃない」

「後はステータスオープンかな? まあ、それは流石にね」

「「……まさかね」」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


『仙道 柚葉のさしすせそ』


プロフィール

仙道 柚葉23歳


 このブログは柚葉の公式ブログで、所属事務所が管理しています。

画像の撮影者は、自撮りかマネージャーが多いかな?

目指せ雑誌の専属モデル。歌も女優も出来るマルチなタレントを目指しています。応援よろしくね。


11月17日

【画像】


あ……ありのまま今起こった事を話すわ。


休暇で田舎に帰省中、ある場所に行ったのね。

壁をすり抜けて、北欧系美少女が倒れてきたの。

な……何を言っているかは分からないと思うけど……。


ねえ、マネージャー。これって何かのネタなの?

全然分からないんだけど。とにかく、美少女がやってきて助けてだって。

みんな、どうしたらいいかな? ふじっこふじっこ


コメント

1 ケルベロス(Lma)

ウォン!


2 名無し

あぁ、マネージャーに言わされてるのね


3 名無し

おい、待て

マネージャーと帰省中だと……。


4 ゆずちゃんLove

お嬢さんをください


5 名無し

いやいや、私にください


6 名無し

いや、ふじっこを突っ込もうよ。

それって、違う意味になってるよ


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ステータスオープン?」


 少し疑問系で、柚ははっきりと宣言する。

そして、柚が固まっていた。


「※※※※(聖女さま)」

「「当たった!」」

「【聖女基本パック】に【増幅】……。これって何?」

「※※※、※※※※※※※※※(やはり、聖女さまでしたか!)」

「随分と、軽い名前のスキルだなぁ」

「それでも、聖女だよ。まこと君」

「マネージャー、何か文句があるの?」


 柚の問いに、佐々木さんと一緒に首を横に振る。

どんな風に見えているかは分からないけれど、ステータスっぽい画面が見られるようだ。

でも、それなら柚に異世界に行く力はあるのだろうか? 【聖女基本パック】を調べて貰うと、分かった事があった。

【異世界共通語】【異世界の絆】【聖域】【光属性魔法】を一つに纏めて、【聖女基本パック】になっているらしい。


「※※※※※※※※※、※※※※※※※※※※※※※(ラルメールさまも、同じスキルを持っています)」

「へぇぇ。じゃあ、もうその人に任せられるんじゃない?」

「※※※、※※※※※※※※※※※※※※※(きっと、怖い思いをしていると思います!)」

「それって、私なら大丈夫ってことなの?」

「※※※※※※、※※※※※※※※※(失礼しました、決してそんなことは……)」


「まあまあ、柚姉。雰囲気は伝わったから」

「そうですね。でも、困っているからこそ召喚したんだしね」

「二人とも、どっちの味方なの?」

「どちらの味方と言われたら柚姉だよ。でもね、このままこの人をほっとけないでしょ?」


 三人の視線が一斉にメルディに向かう。もうちょっと情報を仕入れる為に、柚経由でメルディから話を聞いた。

メルディの世界ではスキルというものがあり、実用的なスキルが一つあるだけで、良い所に就職できるらしい。

弱いスキルは顕在化しない事が多く、人の器として0~3つくらいしかスキルは持てないようだ。

柚は聖女だから、【聖女基本パック】という特別扱いのスキルで統合されているんだと思う。


 柚・メルディ・ラルメール・デリアのスキルを聞いた感じだと、柚にメルディをこちらの世界に引き込むスキルは該当しなさそうだ。しいて言うなら【異世界の絆】なんだろうか? それともメルディが【試練の洞窟】で取得出来たスキルなのだろうか? そもそも、スキルとはどうやって取得するのだろう?


「※※※、※※※※【※】※※(そうだ、聖女さま【石】です)」

「【石】……って、何のことだろう?」

「もしかして、スキル石とかあるんじゃないかな?」

「ありえるね。うん、うん。もしかして、これかな?」


 佐々木さんが出した皮袋に、メルディは声を上げた。

食事の合間にアップしたブログの反応が少し気になる。まさか、こんな機会が訪れるとは思ってもみなかった。

それでも、柚を一人異世界に放り込む訳にはいかない。

メルディには納得してもらった上で、安全にお帰り願うのが正しい判断だと思った。


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