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プロローグ
二十年前――この国の王様が死んだ。国を発展させ豊かに導いた賢王であった。その王が突如何の前触れもなく。
人々は哀れ悲しみ、この国の行く末を心配した。その心配や不安を埋めるかのように誰かが囁く。
これは呪いの所為なのだと。
魔女が仕組んだこの世界を滅ぼすための罠なのだと。当然それに根拠はなく、公式の記録には『病死』と記されているだけである。しかし人々は病的にそれを信じた。まるで病であるかのごとく。『そう』すれば世界はずっとこのまま進むと信じて。
丁度次期王が失策を隠すために『魔女』の所為にしたこともあるかもしれない。
故に。
これ以降魔女は世界の敵となりその数を急激に減らす。それは人々による弾圧と国による『魔女狩り』の結果でもあった。