第一章 王女継承と蜂起の影 第一節(10)
あれから数日間、アルテミスとアレスは、旅の準備に忙しなく動いた。
「これも持って、あ、あとはこれも持っていかないと」
アルテミスは華やかな町並みを想像して、必要な物を考えていく。
「アルテミスね、今度、街に行くことになったの!」
「それはよかったですね。女王様の念願でしたものね」
お手伝い係はアルテミスの部屋で洋服を畳みながら、ウキウキしたアルテミスの話を聞いている。
「うん!それでね、街ってどんな場所かなぁと思って」
「そうですね。美味しい食べ物や綺麗なブレスレットなどが揃っていて、各町によって住んでいる人たちの性格も違ったりしてきます」
「少し前、私にプレゼントしてくれたブレスレットも街で買ったの?」
アルテミスが棚からブレスレットを取り出して見せた。
「あら、女王様、まだお持ちでございましたか。女王様が8歳の誕生日の時に隣街で買ってきたものですよ」
「そうなんだ。こんなに綺麗なブレスレットがある街かぁ。どんな場所なんだろう」
「そうですね、賑わっていますが、お祭りみたいで楽しいところです」
「お祭りも、城のバルコニーからしか見たことないから…でもお買いものまで父が許してくれるかな」
「きっと、お嬢様も…失礼しました、女王様もお買いものできますよ。あのアレス様も一緒ですし」
「普段通りに呼んでいいよ。お買いものできたらいいなぁ。このブレスレットもちゃんと手首につけて行くね」
「ありがとうございます、お土産話を待っていますね、お嬢様」
アルテミスは、お世話係にどのくらいの道のりなのか、寒いのか暑いのか、天候などを聞いて、旅の準備を進めていく。
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