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魔法少女☆として戦います《2》

 あるアパートの2階の一室。

 朝日が射し込むのを感じながらあかりは目を覚ました。


「…ん、んっ………もう朝…?ふぁあ、ねむ」


 手で口を押さえながらした大きなあくびは、あかりがまだまだ寝ていたいであろうことを表していた。

 それもそのはず、あかりは《魔法少女ソルン》として覚醒してからほとんど毎日戦いに明け暮れている。




 戦いの後、あかりはいつの間にか帰宅していた自室のベッドの上で遅刻ギリギリに目が覚めた。なんとかいつもと同じ時間の電車に間に合い、いつものように出勤し仕事をしているうちに、あの黒い球体との戦いはもしかしたら夢だったのかもしれないと考えていた。しかしささやかな希望を打ち砕くように、仕事後の帰宅途中、あかりの目の前には一匹の猫ーーシルが現れた。


「さ、行くわよ。変身して」

「…うそ!」

(やっぱり夢じゃなかったの…!!)


 現れて早々にシルは早くしろとばかりに変身を促す。

 抵抗の意を含めた視線をシルに送るが、意味をなさないどころか、ますます早くというようなプレッシャーを感じる。

 数秒の沈黙の後、先に折れたのはあかりであった。


(く、くそう!なんで猫なのにこんなに威圧感あるのよ!)

「時間がないわ。無駄な考え事をしているのなら無理矢」

「《マジカル・マジカル・マケオベル》!!」


 考えていることを見透かされているのか分からないが、逆らってはいけないと思ったあかりは素早く変身するための呪文を唱える。

 唱えた後のあかりは前回と同じくピンクの衣装にくるくるの金髪姿へと変わっていた。


「あ、そうだわ。私が同行するのは今日とあと一回。それ以降はコンパクトで指示した場所に一人で行ってもらうから」

「え、一人で行くの…?」

「もちろん。場所へはコンパクトが導いてくれるから。」

「わ、っお」


 あかりとシルは会話しながら敵のいる場所へと向かっていた。

 前回は飛びながらシルに追い付くのにいっぱいいっぱいだったが、今回は並走できるまでになっていた。

 しかし突然の言葉に着地に失敗しそうになっているあかりを、シルは(この子本当に戦っていけるか心配だわ…)と情けないものを見るような目で見ていた。


「…と、ところでコンパクトってどこにあるの?」

「昨日あなたを送り届けたときに机の上に置いておいたから、帰ったら確認して。コンパクトは危険を察知して連絡がくるようになっているから、肌身離さず持っているのよ」

「わかった」


 会話が途切れてすぐに、シルは目的地かと思う場所で止まった。

 県境を流れている川の河川敷で、野球のグラウンドがぽつぽつと広がっている。

 不自然なほどの静寂を打ち破ったのは、響き渡るような轟音だった。

 そして現れたのは、直径3メートル程もありそうな謎の黒い球体と、そこから生えている大きな2本の腕。


「ちょ、大きすぎない…?」

「あれぐらいのダークはそんなに強くないわ」

「ダーク?」

「あの球体と、球体と繋がっている物を含めてダーク。ダークの中心である球体の大きさが小さければ小さいほど強いの。あのぐらい倒せないとこれから先大変だわ」

「…え?これから先って、わたし別に戦いたい訳じゃないのにぃ!!」


 情けない声をあげているあかりに容赦なく2本の腕ーーダークが襲いかかった。

 しかし伸びる範囲が決まっているのか、ある程度遠ざかると腕が伸びるのではなく球体ごとあかりを追いかけてくる。


「いいいいやあああ!!シル!シルっ!どうしたらいい の!」

「ソルン!落ち着いて!」

「落ち着けるわけないでしょっっ!!」


 半狂乱になりながらあかりは逃げ回っていた。

 シルはどうにか呪文を伝えようとするが、腕が邪魔をしてくる。


「う、わっ」

「ソルン!」


 ソルンの状態で体力があるといっても疲れが溜まらないわけではない。

 足が縺れ、倒れそうになったとき、あかりは天使の声が聞こえた気がした。



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