うぇえ
まぶしっ
いや、突然何なんだよって思うだろーけどなんか目がチカチカする、痛い
一面真っ白、何もない。なんだこれ、精神崩壊しそう。
というかさっきから何か目の端らへんでうろちょろしてるやつが気になる。なんかいる。
「あの…」
なんか聞こえた気がする
「すみません…あのぉ…」
気のせいだな、うん。
「無視しないで…」
「なんだよ」
ついつい反応してしまい俺がそう言ってそいつの方を向くと―――
すげぇ美少女がいました。
びっくり、なんなんだろうね。俺の人生であった中ではかなり上位。
…じゃなくて、俺が不機嫌そうに返事をしたせいなのかすっかり怯えてらっしゃる模様
俺がどうしようかと黙っているとその美少女が突然頭を下げた。
何事かと内心焦っていると向こうから口を開いた
「時雨さん、どうか…どうかあの娘を助けてあげて下さい」
突然そんなことを言われても訳がわからなかった。
「私の名前はクロト。神と呼ばれている者です。」
「突然で申し訳ないのですが――貴方にあの娘を救ってほしいのです」
本当に泣きそうな声で自分は神だ、どこかにいるあの娘とやらを救ってほしいと言いだすこの女はきっと〝電波〟というやつだな、うん。
こんなに美人なのにもったいないな
「貴方はここにいた記憶を一時なくすと思います――ですが、私が言ったあの娘を救ってください」
途中から無視してたのであの娘とやらの特徴を聞き忘れてしまった。
が、なんでこの女勝手に一人で喋ってるんだ……
「――さぁ、これで一時お別れです。 お元気で」
自称神のクロトとやらはそういうと悲しげに微笑んで――
俺は意識を失った
■■■
――ここはどこだろう。
――そういえば俺はもの凄く変な夢を見ていた気がした。
布団で寝てたのか温かい。
ふかふか…?
そろりそろりと起き上がってふかふかの正体をみると
なんか鷲だか鷹だか猛禽類の頭をもった化け物でした。
ああ、なんで俺の人生こんなバグってんだよ
とりあえず逃げだそうと出口を探す。室内らしいがいかんせんよくわからない。
ただ人間が住めそうではある。きょときょとあたりをみまわしていると
そのときそいつがピクリと動いた
逃げなきゃやばい、と思いつつも体が動かなかった
人間一番行動しなきゃいけないときって全然行動できねえよなぁ。ポンコツかよ…
そいつは目をぱちりと開くと俺の顔をじっと見つめ突然立ち上がった
突然のことに何も行動できずそいつを見つめていると
「えーっと、突然つれてきてごめんね。僕はグリフォンのオルファ、君は人間だよね…?」
そいつが喋った。
突然の事にぽかんとしているとオルファは首を傾げて此方をどうしたの?なんていいながら見つめている
色々質問したいがここは我慢して極めて冷静に、落ち着いて返事をしよう。
「ああ、にんぎぇんだ」
噛んだ。盛大に噛んだ、更に言うなら少しビビりすぎて声が裏返った。
どうしよう、とてもハズカシイ
「え、えっと…うんっ、人間なんだね」
なんか少し引いた感じに言われた。
「でも、なんで人間が空に突然現れて落ちてたの?」
オルファは首を不思議そうにかしげつつ聞いてきた。どうでもいいけどこいつよく首傾げるな。
そういえばなんで落ちたんだったか…記憶が曖昧になってるな
「あ、あのあのねっ?言いたくないとか言えないなら言わなくてもいいんだよ?」
俺が言葉につまってるとオルファが気付いたのかそう言った
「そういうんじゃないんだよ、思い出せないだけだ」
というとオルファは首を傾げつつそっか、とぽそりと呟いた
「それじゃとりあえず、その…君の名前教えてくれないかな?」
そういえば言ってなかったな、と思い出す。
「俺は雨森時雨」
名前だけをドストレートに言ってみた。
そうするとオルファはうんうんと頷きながら
「珍しい名前だね、うんうん。ってことは君がそうなのかなぁ…」
「んで、ここはどこなんだ?」
ぶつぶつなにかを呟いていたオルファにかねてから聞きたかった事を聞くことにした。
オルファは不思議そうに首を傾げ
「うん?ここはコウェンフィア人が居る場所とはだいぶかけ離れてるとこだよ」
全く聞いたことがない場所だった。
本当にどこなんだろうか
俺が唸りながら考えていると、
「あ、あのね…すこーし待っててもらえるかなぁ…?その、君を人の居る町に案内してあげるから」
そういうと足を踏み多分人間で言うもじもじ、をしだした。
化け物なのになんでこう動作が女の子っぽいかなぁ。流石に気持ち悪い。
喰われないだけありがたいがこいつの動作がなんかもう嫌だ。
だが町につれてってもらえるだけありがたい、のかな
「待ってるから好きにしてこいよ」
とりあえず伝える部分だけ言って暫く待っていよう、そうしよう。
そして俺がそういうとオルファはうなずくと
「それじゃちょっと待っててね」
そう言うと後ろ足を壁にガンとぶつけるとなにもない場所から扉が出て来たと思うとそこに入っていった
壁蹴ると扉出るのか……
同じように蹴ってみたら――足が痛くなっただけだった
どんな強度してんだよ、というよりなんででないんだよ…
■■■
オルファが消えてからかなりたった
多分1時間2時間放置されてる
そろそろお腹がすいてきてつらい。もう寝ようかと思っていると
突然ガゴンドゴンと音が聞こえドサドサドサッと音がして何事かとビクビクしていると
後ろからドッと鈍い音がし「きゃっ」なんて可愛い声が聞こえてきた
びっくりしすぎて何も言えないままとりあえず振り向くと、
――可愛い女の子がいました。
腰より長いストレートな白く透き通った綺麗な白髪、ぱちりとした二重の綺麗な赤い目、色白な肌、まるでこの世のものでは無いくらいに整った綺麗な容姿。
いや、ていういか誰?
と思って訝しげに見つめているとそいつはえへへと顔を赤くしながら
「遅れてごめんね、待った…よね?」
なんてデートであうときみたいな事を言ってきた。デートしたこと無いけど
思わず即答でぜんぜん大丈夫と言いそうになったが
こいつが何者かよくわからないのを思い出して
「お前誰だよ」
そう聞くとそいつは
「えっ?オルファだよ?」
なんて当たり前でしょ?何いってんのこいつ?みたいな目で見てきた。
すごく腹パンしたい。
そもそもなんであんな化け物が人間の、それも可愛い女の子になってんだよアホかよ。
「いや、オルファって化け物じゃなかった?」
俺がドストレートに聞くとオルファは眉をキッとつり上げ涙目になりながら
「ひっどーいっ!そんなこと思ってたのっ?てか僕のことはオルって読んで欲しいな!」
「思ってた。」
「だよねー…って即答!?しかも流された!?僕化け物じゃないから!それにそれにっ!あの姿人間にもカッコイイって凄い言われるんだからぁ!」
「そんな涙目で力説すんなよ、そもそも何で人間と同じ姿なの?」
「また流されたッ!?いやー、えっとね-、ふっふーん。聞いて驚けー、僕はなんとー実はー…」「ちょっと前置き長いしどうでもいいから早くして」
「ひどっ!?もーいいよーっ!えっと僕はこれでもこの世界だと割と上位種だし偉いし凄いから大抵のことは出来るんだよ―」
弄ると反応が面白くて弄ってみたが偉いのか、こいつ。
上位種って便利なんだな。ところで上位種ってなんなんだろう。
「あ、えっと上位種っていうのは世界にたーくさんいる種族の中でも結構上の種族なんだよ―。グリフォンとかドラゴンとか-?有名なのだとこんな感じかな!」
俺が不思議をそうな顔をしてたのかなんか説明してくれた。とってもざっくり。
「そ、れ、で!何の話してたっけー?」
さっき話してた事すぐ忘れるとかこいつ馬鹿なんだろうなあ