思い出話
ここでは、あまり自分のことは話さないようにしてきたつもり。個人情報だし、別にさらけ出す必要もないじゃん。てなところで。
でも、なんか、あんまり心が騒ぐので、ちょいと思い出すことにしてみた。まあ、今日読んだ本が、「親とのことをもう一度原点から考えてみろ」なんて書いてあるものだから。今、心を落ち着かなくさせているのは親のせいなんだろうか。
うちの親、かたっぽはもう鬼籍入り。母親は老齢でもまだしっかりしてる。やっぱり女はね、なんちて。この母親、たしか七人姉妹(セブンシスターズ!)の真ん中だったよな。一番上が長男で。まあ、昔の人は盛んだったというか、それしか楽しみがなかったんかい、というか。
これだけ兄弟がいたら、そりゃ親の愛情も分散するか。しかも、理由は良くわからないけど、姉妹の中でも年上グループと年下グループで反目があったらしい。まあ、女のにらみ合いだから、そりゃなかなかのものだったんじゃないかな。今でも仲良しグループとそうでないグループのようだ。一度、電話口で怒鳴られた事がある。いやー、大したこと言ってないはずだがなあ。現時点でも遺恨があるのかなあ。
母親のほうはそんな感じで、世間のことは何もしらないで見合い結婚だそうだ。箱入りだったようだ。
で、父親。というより、おやじ。大酒飲み。タバコ吸い。今風にいえば、メタボ体型。よく怒ってたと言うか、怒られてたというか。自分はよく泣いてたらしい。泣くと、それ以上怒られないから、という自己防衛だったようだ。
酒飲み。酒乱と言ってもいいかもしれない。その話はよく聞いた。法事でお寺の住職から奪って木魚叩いたとか。酒が入らなければ、そんなに滅茶苦茶な人じゃなかったそうだ。「きちがい水」。酒のことを母親はそう言ってた。
そのおやじの父親。つまり、おじいさんはよく知らない。というのも、早くに死んでいるそうな。つまり、おやじは実質的には片親ということだったようだ。しかも三男だっけ。昔のことで、長男(つまり、跡取り)は大切にされて、次男、三男は粗末な扱いというのを受けたらしい。なんか食事でさえ違いがあったと聞いた。昔は酷いというか、戦争前の話なんだけど。
そんな二人が、見合い結婚。つまり、相手のこともろくに知らずに結婚すればどうなるかというと、まあ、今で言えばDVだったらしい。酒飲んで、暴れて、殴って、実家かえって、引き戻されて、みたいなことは聞いた。今なら離婚だよね。これ。でも、昔のこと、戦前のことだからそこまでは踏み切れなかったようだ。つまり、母親の我慢の境地。
それでもやることやれば、子供はできる。姉とオイラ。姉は父親譲りの性格というか、怒られても抵抗したそうだ。書いたとおりオイラは泣くだけ。つまり、強い女の子と、ヘタレの男の子という、オイラの小説のキャラはどうも、このあたりに原因がありそうだ。
こう書いてきてみると、両親とも自分の親から愛情たっぷり育てられた、なんてとても言えなくて、それで子育てやろうっていうんだから、けっこう無茶苦茶ではあるわね。姉もオイラも、よくぞまともに育ったものだ、とは言えるかもしれない。何見て育ったんだかよくわからないけど。
おやじは結局脳出血で亡くなった。その前には糖尿病だったり。タバコもすってたけど、止めたのは心臓系の問題だったかなあ。脳出血のあと、車椅子で何年か生きていたんだけど、あんなに叩いたり殴ったりしてた妻(つまりオイラの母親)に下の世話とかさんざんやっかいになってた。そんなんだったら、若い頃からちゃんとしてろよ、なんて見てて思ってたよ。
結局、オイラも愛情たっぷりで育ったなんてはいえないのかもしれないけど、まあそれでも母親にはしっかり面倒みてもらったとは思っている。だからスープの冷めない距離にいるわけなんだろうが。
時折、何もかも白紙にしたいとか、滅茶苦茶にしてやりたいとか、思うときがある。嫉妬深いし、人間関係は苦手だし、小説書いてても自信はないし、人気はもっとないし、これでいいのかな、なんて不安はたんまり持ってる。奥さんと子供にはそんなところは見せないようにしているけどね。
もしかすると、こういう不安の原因は、両親にあるのかもしれないけど、死んだ人の墓にむかって文句言ってもどうにもならないし、もういい歳なんだから自分で決めて自分で変えて自分で責任をとることだって十分できるはず。今更子供に戻りたいわけもないしね。
うん。結局はそういうことなんだと思う。ちょいと不安症に陥ったので、ここで告白してみましたとさ。
同じような悩みがある人には、参考になれば幸いです。そうでない人には、幸せでよかったですね。
では。