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0 side nameless
だって仕方がなかった。
最後がどうなるかは分かっていた。
それが絶望の未来でしかないことも、分かってしまった。
だけど、〈約束〉に縛られている自分には、その絶望を希望に塗り替えるだけの力なんてない。
だから、もうこれしか方法がなかったのだ。
上手くいくかどうかなんて、わからない。
でも、絶対に諦めることはできない。
唯一の心配は、自分と同じ境遇に生きている彼らのこと。
いつも、突っ走っては周りを撒きこみながら転んでしまう自分に、苦笑しながらもいつだって手を差し伸べてくれる、優しい彼ら。
今回は、今まで以上に大きな嵐に巻き込んでしまうけれど、許してくれるだろうか。
「……ごめん」
ちゃんと言葉になったか、わからない。
音が聞こえない。世界が真っ白だ。
溶ける――。そうして。
「――――」
完全に溶けてしまう前に、誰かに呼ばれた気がした。