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愛読書は推理小説です

掲載日:2026/05/10

短編です

 付き合い始めたばかりの彼が、事故で亡くなった。

 急に警察から連絡が来て、焦ったけど、最後に連絡をしていたのが私だったから、いの一番に連絡が来たらしい。

 彼はロマンチックな人で、付き合うきっかけになったのは、自作の詩だった。

[あゆみ、君は僕の太陽だ。暗く苦しい墓地のような世界で生きる僕を、温かく優しく積み込んでくれた。聖母のような君が好きだよ]

 こんな恥ずかしい内容でも、彼からもらうと、素敵な言葉に聞こえたし、自分が書くには恥ずかしいけど、こんな風に愛を言葉で伝えてくれる彼は、今までいなかった。でも最近、なんだか物足りないような、そんな感覚を覚えていた。もちろん付き合い立てなのだから、これから彼の事を知って行けば良いと思うのだけど、あまりに刺激が少なくて、ちょっとつまらなさを感じ始めていた。

 付き合ってすぐ、彼は私に家を案内してくれた。ご両親を早くに亡くした彼は、一軒家に住んでいた。物語好きの私は、彼が両親を殺したのかしら?とか、秘密の部屋がきっとあるはず!なんて、変な妄想を並べていたけど、あけすけにすべての部屋を案内してくれた。でも彼の自室だけは頑なに入れてはくれなかった。そこだけはちょっと気になったけど、これから付き合っていくうえで、この部屋の秘密を暴いていけば良い、と思っていた。

 警察から、遺留品の確認をお願いしますと言われたとき、迷わず彼の家の鍵を受け取った。

 家に向かうと、女性が二人、玄関の前に立っていた。

「あの、どちら様ですか?」

「あなたこそ、彼に何か用?」

「私は彼の彼女です」

「私もそうよ」

「あら、私もなんだけど?」

 こんな修羅場本当に存在するんだ、という感覚が私の最初に浮かんだ言葉だった。彼が死んで、浮気相手が集まってくるなんて、ドラマみたい。

でも彼が死んだことを知るのは私だけ、つまり最後に連絡を取っていたのは私!

「二人は彼が亡くなったことご存じ?」

「えぇ!?亡くなった!?」

「何よそれ」

 立ち話もなんだし、と私は彼女たちを家に招き入れた。さすがに二人は、家には来たことがあるようで、まるで我が物顔で家の中を物色していく。

 二人をリビングに連れて行って、彼の事故の事を話した。

「ふぅん、それで彼の家の整理をねぇ」

「なるほど、まぁ、彼が死んでるんじゃ、ココで私たちが喧嘩しても仕方ないわよね」

 存外物わかりの良い人たちで助かった。

 彼との思い出話をしながら、3人で部屋を片付ける算段を立てた。

「ああ、そうだ、私彼の部屋をちょっと見て置きたくて」

「あぁ、絶対入れてくれなかった部屋?」

「そう、あなたも?」

「私も入ったことないわ」

 これはますます怪しくなってきた。いったい彼は何者なんだろう。

 三人で二階にある彼の部屋に入ってみた。

 中は普通の成人男性の部屋といった感じで、これと言って特筆して何かがあるわけじゃなかった。

「なぁんだつまらない」

 頑なに部屋に入れない様にしていた割には、あまりに部屋が普通過ぎて、拍子抜けしてしまったけど、私は机の上にあったパソコンが気になった。

 デスクトップに保存された「レター」というファイルが気になって、少し申し訳なかったけど、ソレを開いてみた。

 中には文章作成ソフトが沢山保存されていて、それぞれに女性の名前が書かれていた。

「あゆみ」と書かれたものを開くと、彼が付き合うときにくれた詩が出てきた。

「これ、私ももらった・・・しかも内容一緒」

 それぞれの名前を開くと、全部が同じ内容で、名前を変えるだけのいわゆるテンプレの詩だった。



——なぁんだ、これを隠したかっただけかぁ・・・——

もっとこう、大きな事件の手掛かり!とか見つかれば面白かったのに・・・。

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