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22、


「話は大体纏まったようだね」


 ここで成り行きを静かに見守っていた第三王子のセヴァロスが口を開くと皆が注目した。


「キルヒホッス侯爵令嬢。君はこの学園に何をしに来てたのかな。ここは学び舎で学ぶ者のために門扉を開いているのだが…それを知らなかったのかこの学園に相応しくない振る舞いをしていたね。

 実はフォセット嬢の事は生徒会では私のみが理事長殿より報せを受けていて正確な情報を知っていたんだよ。この時にノエリア嬢についても説明を受けていたから密かに見張っていたんだ。

 初めは私も半信半疑だったよ。しかしフォセット嬢は理事長殿から依頼された仕事をしっかりこなしながら周囲に自身の実力を示していたから私も自分の認識を改めたんだ。

 そしてノエリア嬢は生徒会には相応しくない…あれは醜聞と言っても良い事をしていて更にキルヒホッス侯爵令嬢と一緒になって悪巧みをしていたようだね。

 そしてこの場のこの状況…私は状況証拠が揃うこの場で対処する必要があると判断して実行に移す事にした。

 この時よりミルトネア・キルヒホッス侯爵令嬢との婚約は白紙とする。

 そしてミルトネア・キルヒホッス侯爵令嬢とノエリア・シャルダン男爵令嬢は学園の品位を著しく貶める行為をした事でこの処遇については学園の責任者である理事長預かりとする」

「セヴァロス様それだけは…」


 ミルトネアは青ざめてセヴァロスにはなんとか考え直して欲しかったが彼は冷たい視線を向けるだけだった。


「君達は国が囲い込もうとしてる優秀な者から見切りを付けられた上に実力で結果を出した者に対しても不正等と言う事実無根の不名誉な罪を着せようとした。

 これはノエリア・シャルダン男爵令嬢も同じで生徒会の一員でありながら学園の品位も下げていたね。

 更にミルトネア嬢に至っては私の婚約者としてあるまじき醜い行為だからその辺りはしっかりと理解してほしい。

 これは誰が見ても君達の行いが醜聞以外のなにものでもない事だとわかるんだよ。

 それくらいの事をしていた者に対して優秀な者を囲いたい王族としてはどうしても見逃せないから妥当な措置なんだよ。

 君達も優秀なら今の説明で理解した筈だから大人しく沙汰を待ちなさい。それで理事長殿はどうなさいますか?」

「…」


 ただ鬱憤を晴らすだけのつもりがかなり大事になりすぎていた。ノエリアとしてもこれは流石に予想外すぎたので青ざめながら逃げたくなっていた。


「そうですなぁ…このまま卒業となるとキャラメツ伯爵令嬢に対して不正等という学園にとっても不名誉な虚偽を認める事になりますからそれは容認できませんな。

 このような場で堂々と虚偽を公言したならその責任は取ってもらわねばなりません。この発言で学園の信用を著しく下げましたから再度試験を受けてもらうとしてキャラメツ伯爵令嬢と同じか上の順位の点数となれば卒業としてそれ以下は留年としましょう」


 これは一つの見せしめだった。卒業生の学力も人柄も良いと言われてきたこの学園で留年となるとかなり不出来な者だと言う事になるのでかなり重い事だった。

 それは成績や得意な能力によって教室が分けられていて基本的な教科以外では専門的な分野の選択科目もあり授業内容に合った教師をつけるので優秀な生徒の育成に自信を持つ学園側は卒業する時には皆が優秀であると認めた上で世に送り出していた。

 既に卒業して活躍する者達もこれを理解していて卒業後はそれぞれの分野で優位な立場で成果を挙げていたので学園への評価と信用は更に揺るぎないものとなっていてこれに傷を付けられたなら学園側も黙っていると言う事は出来ないので当然の流れだった。


「嘘でしょ?」

「それはあまりにも…」


 流石にこの措置に対してやり過ぎではと思えた二人は唖然としていた。


「そうですねぇ…それくらいはして頂かないと此方(こちら)も困ります。それにこのまま見下げられたままなのも腹立たしい事ですし結果次第では逆恨みで今後もこのような事を口にするかもしれません。

 そこでこの際ですからキャラメツ伯爵令嬢様にも同じ試験を受けて頂きましょう。同じ条件下なら何も言えないでしょうしその上での点数とされたなら不正等と言われないでしょう」

「え?」

「まぁそれが妥当ですな。ではキャラメツ伯爵令嬢は卒業生として認めた上で付き合って頂く形として問題の二人は卒業試験として明日に試験を行うので該当者は改めて受けるように」


 どうせならとフォセットの突然の話にエビーチェは巻き添えを食らい困惑していたがそんな彼女を置いて理事長も納得した様子で頷いた。


「エビーチェ様は私が教えた基礎等はまだ覚えてますか?」

「え、ええ…凄く分かりやすかったから覚えてるわよ…でも…」


 ノエリアも成績が良いのは知ってるのでエビーチェは流石に自信がなくなり言葉を濁すとフォセットは楽しそうにふふっと笑った。


「それなら問題はありませんよ。大丈夫です。最後まで私もお付き合いしますから寮に戻った後にまた図書室で今までのお復習(おさらい)をしてみましょうか」

「…そ…そうよね…私の不名誉ならこれで晴らさないと駄目よね」


 エビーチェはフォセットの表情を見て彼女が自分のために立ち回ってくれた事で今の自分に一番何を伝えたいのか…その意図を理解するともう一度頑張る事にした。


「そうですよ。私も付いてますから一人ではありませんしもう少しだけ頑張りましょうね」

「はい。宜しくお願いします」


 エビーチェに優しく話すと彼女はやる気を出して頷いた。

 普段は見られないフォセットの対応を見たノエリアはなんだか自分が不出来な気がして腹立たしく思えたが人前なので耐えていた。

 これに困ったのは参加していた当事者の大人達で彼等は事の成り行きを静かに見守っていたが明日も試験となると予定が狂っていた。しかし理事長が決断したなら権限はまだ学園の中なので仕方なく調整するしかなかった。

 その後は他の生徒達は学園最後のパーティーを続けたが当事者となった三人はここで解散となりそれぞれが勉学に励む事になった。

 この日のエビーチェはフォセットと時間の許す限り出来るだけお復習いをしていた。









ここまで読んでくださって有難うございます。

ザックリ人物紹介。

フォセット…ノエリアの妹。全てを明らかに出来たが面倒には変わりない。王子がいる前で姉達は…と呆れていた

ノエリア…フォセットの姉。まさかこんなことに…と今更ながら後悔

エビーチェ…フォセットの友人。最後の最後まで味方をしてくれるフォセットに感謝

ミルトネア…侯爵令嬢。自分の欲で全てを失った事にやっと気付いた

セヴァロス…王子で元生徒会長。婚約者のミルトネアのやらかしで腹立たしい

学園理事長…丁度よいので問題のある生徒を見せしめにした。卒業して終わりだと思うなよと密かに示した

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