20、
そしてやっと卒業式。
(あぁーやっと帰れるぅぅ…)
この一年は本当に面倒でフォセットは卒業の喜びよりも家に帰れる安堵感が勝っていた。
「今日で最後ね…でも手紙を書くからね」
「エビーチェ様。今日まで有難う御座いました。私もお手紙を書きますね」
二人は社交の場に向かう前に教室で握手をしながら別れを惜しんだ。
無事に卒業式が終わるとその後は親睦会のパーティーなのだがフォセットは理事長に呼ばれて理事長室にいた。
「一年間ご苦労だったね。君のお陰で我々の事も表沙汰になる事もなかったし無事に終われて良かったよ」
「やはりですか…原因がアレなのでどうしようもありませんけど…この一年は本当に自由がなくて面倒臭かったですよ」
本当に困った顔で話すと理事長はふふっと笑った。
「しかし君の噂があまり成績が伸びなかった生徒に変わった時には困ったよ」
それは『教師達の教え方に問題があったのでは…』と言う問題にもなりそうな話でフォセットからすればこれは流れに任せた結果なので不可抗力だとしてみていたので困った。
「あぁ彼女ですか。彼女は元々は優秀でしたけど全体的に教えるやり方では少し合わなかっただけなのでそこを埋めただけなんです。
その時に特別な事はしてませんよ。教えたのはただ問題の土台となる基礎の部分ですから。
個人的に話しますとは此方の教師の皆様は優秀だと思ってますのでこれは偶々ですよ」
理事長の様子から見てもこれは間違いなくエビーチェの事だと察すると彼女は今更言われても困るので眉尻を下げていた。
「…君は教師にならないかい?」
「お断りします」
予想通りに勧誘が失敗して即答された理事長も困った。
「気が向いたら訪ねて来てほしいのだけど」
「わかりました。それで?私はもう帰っても宜しいですか?」
「最後のパーティーくらいは出なさい」
「…はい。わかりました」
このまま逃げようとするとすぐに阻止されてしまい仕方なく頷く他はなかった。
*****
理事長達との話し合いが終わると理事長達と一緒に会場へと戻ったのだがその場の雰囲気が妙な気がしたフォセットは『一応は親睦会だよね?』と不思議に思った。
思わず少しだけ眉を寄せつつその現場に向かうと以前にエビーチェを貶めようとしていた令嬢がエビーチェに再び詰め寄ろうとしていた。
「キャラメツ伯爵令嬢様。お待たせして申し訳ありません」
「…フォセット様…」
然りげ無く声を掛けるとエビーチェは何を言われたのか元気がなさそうだった。
「キャラメツ伯爵令嬢様は試験の時に一体何をしたのかしらねぇ?
前期からの編入生で成績が優秀な貴女が密かに手助けしたのではなくて?そうでなければあれはあり得ないわよねぇ」
(なるほどねぇ…人の努力を愚弄するとは…どこまでも最低な奴だな…)
これはフォセットの逆鱗に触れる事で珍しく腹立たしそうにした。
「貴女様のお名前を存じませんのでご令嬢と呼ばせて頂きますが…他人の努力を貶した挙げ句にこのように大勢の前で辱めて楽しいですか?
私の友人のキャラメツ伯爵令嬢様は努力を怠る事をしませんでしたよ。
そうですねぇ…強いて言うなら私が手を貸したとすれば放課後に図書室で一緒に彼女の苦手分野を確認しながら勉強を教えて克服したくらいでしょうか。
私から言わせれば逆にこんな事を話すご令嬢の方の不正を疑いたくなりますよ?」
「な、なんですって!」
「フォセット。その無礼な口を慎みなさい!このお方はキルヒホッス侯爵家のミルトネア様でしてよ!キルヒホッス侯爵令嬢様。申し訳ありません。愚かな妹が大変失礼致しました」
前に出たのはノエリアで彼女は何も知らないのかいきなりミルトネアに頭を下げた。
「ノエリアお姉様…本当に愚かね」
「愚かなのは貴女よ!」
一応考え直してほしくて忠告のつもりだったが伝わらずノエリアが言い切ったのでフォセットも仕方なく理事長を見ると目が合い理事長が頷いたので彼女も頷くと問題の二人を真っ直ぐ見た。
「キルヒホッス侯爵令嬢様。ノエリアお姉様。まずこうなったのはご自分達の行動の結果であることをしっかりと認めた上で今から私がすることはあなた方が招いた事であるとよく理解して下さいね。
理事長様。こうなったらどうしようもありまんので全てを明るみにしても宜しいですか?」
「仕方ない」
理事長の許可を得たのでフォセットはすぐに魔道具を動かして証拠映像の数々を流し始めた。
ここまで読んでくださって有難うございます。
ザックリ登場人物紹介。宜しければご利用ください。
フォセット…ノエリアの妹。やっと終わったと言うのに…未だ学び舎から出ないのにド阿呆な事しかしない姉達に腹立てた。
ノエリア…フォセットの姉。まさか格上に対しても礼儀を弁えない妹に焦った。
エビーチェ…フォセットの友人。最後の最後でこんな事になるとは…思わず凹んだ。
ミルトネア…キルヒホッス侯爵家の令嬢。今のところ当事者達で一番の権力者なのだがフォセットが自分に対して舐めた事しかしないので腹立たしい




