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最近の生徒会室では現在あまり広がりはないがそれなりに出回っているフォセットの噂が少し問題になっていた。
「最近フォセット嬢の悪い噂が立ちやすいみたいだけど誰か何か知らないかな?」
成績表を見ながら生徒会長のセヴァロスが生徒会の役員達に然りげ無く話し掛けるとノエリア以外の皆が不思議そうにして首を振った。
「そう言えばノエリア嬢も妹君の事をあまり良く思ってなさそうに話してたよね?」
「私は身内だからですわ。身内まで褒めると何かあった時に困りますから少し厳しい目で見るようにしてますの」
副会長のオビディオも前回のノエリアの様子を思い出しながら口を開くとノエリアがすぐに口にしたそれは何も知らなければ問題は無さそうに思える内容だった。
しかし本来ではこの『厳しい目…』についてはノエリア自身に対しても当てはまる事なのだが彼女はそこには気付かずに無自覚で口にしていて事実を知るセヴァロスは困ったように少しだけ眉尻を下げた。
「そうなんだね。でも褒める時には褒めないとこれまでの妙な噂は君が流していたと言う生徒も現れかねないから気を付けなさいね」
「わかりました。有難う御座います」
セヴァロスに諭されても無自覚の彼女はただの忠告くらいにしか聞いてなかった。
その後は『くれぐれも口には気を付けるように』と言う事で解散となり教室に戻ったノエリアは生徒会室での出来事も気に食わなかった。
(最近上手くいかないわ。私だって努力してるのに…あの出来損ないで有名なあの子があんな成績になるのも気に食わない。
それが原因でフォセットの株が上がってる気がするし更にセヴァロス様の忠告もよね。
皆があの子の言動に注目してるのがよくわかるのが余計に腹立たしいわね…)
この時のノエリアは父親と理事長達さえ絡まなければ生徒会の権限を使ったりして早めに退学させるために動けたが今は流石にそれが出来ないとわかっているので何も出来ずにいた。
(皆してなんなの?あの落ちこぼれが9位ですって!これではフォセットに断られた私の方が無能だと証明されたようなものじゃない!
彼女の噂も真に受ける人が少なくなったし…これはなんとかしなくては…)
成績表を見ながらエビーチェを虐げた令嬢も焦りを見せていた。
この事については全て学園側が監視していたのだがこの時の彼女達は知る由もなかった。
一方のフォセットの方はというとエビーチェのやる気を更に引き出させて勉学に励ませていて順調に日々を過ごしているとやっと期末試験間近まできた。
この頃にはフォセットとエビーチェは寮に戻るまでほぼ一緒にいるので絡まれる事がなく妙な噂は偶にあったが皆が相手にしないのですぐに沈下するようになっていた。
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そうしてやってきた期末試験当日。これが泣いても笑っても本当に最後の試験で皆が気を引き締めていた。
「さぁエビーチェ。泣いても笑ってもこれが本当に最後だよ。貴女は今までしっかりとやってきたからその努力を信じてみてね」
「フォセット…最後まで本当に有難う。今度こそ貴女と頑張った私を信じてみるね」
「うん。エビーチェなら大丈夫だよ」
励ましの言葉を口にしながらフォセットは軽くエビーチェの背中を押して送り出すとエビーチェは自分を信じて実技試験に挑んだ。
すると中間よりも更に良い評価になっていた事で今まで下に見られていたエビーチェをここまで指導したフォセットの評価がまた上がっていた。
そしてフォセットも余裕で実技を終えた。
「フォセットは流石ね。相変わらず安定してるわね」
「有難う。これは日頃から継続してきた成果だからそれが実を結んだだけだよ」
ふふっと笑いながら結果に驕らずにずっと努力してきたからだと話すこの謙虚な姿勢は近くにいた生徒達にも良い刺激を与えていて自分達も彼女のようになろうと居住まいを正す者も現れたり等と良い影響を与えていた。
この時の総合結果でエビーチェは7位となり初めての高成績に彼女も驚きつつも満足のいく結果となり喜ぶ彼女の姿を見ながらフォセットも嬉しそうにしていた。
ここまで読んでくださって有難うございます。
ザックリ登場人物の紹介です。宜しければご利用ください。
フォセット…ノエリアの妹。エビーチェが頑張る姿に自分も元気を貰ってる。
ノエリア…フォセットの姉。上手くいかなくてもやもやしてる。
エビーチェ…フォセットの友人。最後の思い出は最高の結果に驚きつつフォセットに感謝した。
セヴァロス…ヴェスタル国の第三王子で生徒会長。ノエリアがわかってなさそうで困った。
オビディオ…ベスター伯爵家の次男。フォセットの能力の高さに普通に感心してるがノエリアはもう少し妹に優しくしても良いのでは?とも思う。




