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18、

書いてたらいつもより少し長くなりました。長文でもお付き合い下さると有難いです。


「ノエリア様の仰っていた通りあの方は性格が悪すぎますわね」


 エビーチェを罵っていた令嬢はフォセットに言い負かされた後に悔し紛れでノエリアのもとへと向かい愚痴を零すとノエリアは初めは少し戸惑ったが少しして切り替えると内心ではニヤリと笑っていた。


「やはりお気付きになられたのですね…あの子は家でもあのような感じで…」


 彼女に合わせてノエリアも少し疲れた様子で言葉を濁しただけなのだがそれだけでも彼女も察して同情してくれていた。

 そして彼女達はフォセットは優秀だが性格がとても悪いと言う事で取り巻きも一緒になりながら噂を流していた。

 しかしフォセットについての有名な噂が偽りであった事を知る生徒達はあまり相手にしなかったが噂好きでフォセットに嫉妬した生徒達の間ではかなりの範囲で広がりをみせた。


「フォセット大変よ!貴女の噂が…」


 逸早く噂を知り本人に報せていたのはエビーチェだった。


「やはりそうなったかぁ…」


 普通なら噂を消すために翻弄するところなのだがフォセットからは特に慌てる様子もないどころかこの状況になるのがわかっていたようでやれやれと肩を竦めていた。


「あの時に私を庇ってくれたから…」

「大丈夫だよ。学園側に頼んで記録はキッチリ取ってあるから何を言われても問題ないし私達には全く非はないのだから今後も慌てずに堂々としていればいいからね」


 どんなに酷い状況でも平然と立ってる彼女を見てエビーチェは羨ましくなった。


「何故フォセットはそんなに強いの?」

「んーそうだねぇ…私は良くも悪くも自分がどんな人間なのかをよくわかってるからだよ。

 しっかりと見返して自分自身が思わず目を逸らしたい部分も褒めたい部分も全てを理解してるから相手と同じ土俵には立つことがないしそこで自分が揺らぐ事がないんだよ。

 だって皆も良い所も悪い所もあるでしょ?それを気に食わないとか一々指摘して一体何になるの?それって時間の無駄でしょう?」

「…確かに私も嫌な所はあるし…」


 言われてみると確かにそんな気がしたのでエビーチェも納得した。


「そうでしょう?それで自分の正義を無理矢理に他人に押し付けておいて本人は満足そうにしてるけどそれって本当に正義だと思う?私にしてみればそれこそ只の傲慢だと思うよ。

 まず自分の嫌な所を認めて相手については自分が許せる範囲で許す人間にならないと相手の事は言えないんじゃないかな。

 そうでなければ『それお前もだろ?』って突っ込まれて信用無くして終わりだよ。それって只の間抜けだと思うけどね」

「確かに痛い所を突かれるかも…」


 なんだか想像が出来てしまうと居心地が悪い気がしたエビーチェは少し目を逸らしていた。


「そうでしょ?他人に苛立つ事って実際に自分も似たような行動をしてる事が多いんだよ。

 そんな時には自分で嫌な行動だと認めてるからそれを見たくなくて逆恨みのように他人に対して攻撃的になるみたいだね。

 私も昔はそんなところがあったから徹底して見つめてわかったんだよ。

 でも大抵は自分を理解してないから勢いで他人に攻撃してしまうと思うんだ。

 でもその人は相手に攻撃してる筈でも自分自身に対して攻撃してるのと同じって事に気付いてないみたいだから私にしてみれば態々そんな人に声を掛けても意味が無いし同じ視点にいようとするだけで自分の思考が下がるだけだからそんな人と居ても実りなんてないと思う。

 だからこんな人に対して一々相手するよりは無視するのが一番なんだよねぇ」


 呆れた口調が余計に本心だとわかるとエビーチェもなんだか本当に阿呆らしく思えてきて少しずつ気持ちが軽くなっていくように感じた。


「フォセットと話すとなんだか何故こんな事で悩んでたんだろうって思えてきたわ」

「それは素晴らしい変化だね。ついでに人差し指で誰かを指差すのは実は他の折り曲げてる指で自分を指してる意味にもなるから気を付けた方がいいと思うよ」


 エビーチェは人差し指を立ててみて誰も居ない場所を指差してみると確かに他の指は中に折り曲げていても自分を指しているように見えたのでこれは盲点だと思えた。


「あれ?ホントだわ…確かにこれで誰かを指差して笑っていても自分を指してるから自分を笑うことになりそう…」

「でしょ。だから他人に合わせて誰かを蔑むならその時には自分も一緒に蔑んでるのと同じなんだよ」


 改めて自分の手を見ながらこれなら表立って他人を馬鹿にしたとしても密かに自分も馬鹿にしてるのだと思うとフォセットが自分には全く非がないからということでこんなに落ち着いているのも納得した。


「なんだか深いわね…」

「そうだね。こうやって少しずつでも理解すると慌てる必要が無いこともわかるよね。

 折角だし今度のテストでは学生最後の記念に自分の過去最高の点を叩き出してみない?」

「それは自信が…」


 まだまだ自信が無さそうな彼女にフォセットは優しく微笑んだ。


「エビーチェ?何を言ってるの?私が貴女を見て出来ると思って話してるのに自分でその可能性を閉ざすようなことをしてどうするの?貴女はやれば出来るからね。

 それを前期の期末試験では自分の力で示したのにまさかもう忘れたの?」

「いいえ。覚えてるわ」


 エビーチェは前期の期末テストが未だに夢のように思える程だったがフォセットは彼女の可能性を少しでも広げたくて更に言葉を紡ぐ事にした。


「それならもう少しだけ自信を持ってみない?もしそれで駄目なら駄目でいいと思うし今頑張った事は今後の貴女の自信にも繋がると思う。

 本当に大切な事は結果ではないよ。自分はこれだけ打ち込めるんだって自覚する事が大切でそれが自信に繋がる事もあるからね。

 それにね。卒業すればこんな機会はあまりないから学生である今の内に体験するのもいいと思うんだけど…どうかな?」

「確かにそれはあるかも…じゃあ頑張ってみるからお願いします」


 エビーチェもフォセットの話で少しずつ学生の間ならやってみてもいいかなと思えてくるとフォセットはその様子を見ながら嬉しそうにした。


「いいよ。前回に教えた内容でエビーチェが苦手そうな所を挙げるからまずはそこから始めてみよう。そしたら理解も早いかも」

「確かにそれはあるかも!」


 その後の二人は時間の許す限り過去問題等で苦手を克服していくとエビーチェも基礎がキッチリ出来た事で応用にも理解を示していた。


「ほら。ちゃんと出来てるよ」


 軽くテストをすると全問正解だった。


「嘘…こんなに出来たの初めてかも…」


 エビーチェは自分の可能性に驚いていたがフォセットは特に驚かず当然と言わんばかりの顔だった。


「だから言ったでしょ?エビーチェはやれば出来るからその可能性を潰さないでって。悪かったのはそのやり方だけだよ」

「それはフォセットの教え方がわかりやすかったからだよ」

「私はキッカケに過ぎないからこれはエビーチェの頑張りの結果だよ」


 その後の二人はお互いに感謝していた。


 そして中間試験が始まった。これは学期末の卒業試験にも影響が出るので皆も必死だった。


『9位、エビーチェ・キャラメツ』


 エビーチェは掲示板を見た時にこの結果に驚き我が目を疑い何度も瞬きをしていた。


「エビーチェおめでとう。ちゃんと出来たね」

「フォセット有難う。貴女は変わらず一位よね。流石としか言えないわ…」

「まぁ学び舎で実力を出さないと失礼だからちゃんと全力は出すよ」


 彼女達は後ろの方で確認するとすぐにその場を後にした。

 そして令嬢達の流した噂は現在フォセットと仲良しの落ちこぼれで知られていたエビーチェの成績で払拭されて誰にも相手にされなくなっていた。

 それはフォセットがしっかりとエビーチェに勉強を教えている姿を何人もの生徒達が見ていた事も影響していて落ちこぼれが上位になる程まで教えている人の性格が悪いと言うのは無理があると言うものだった。




ここまで読んでくださって有難うございます。

一応ザックリと登場人物の紹介です。

フォセット…ノエリアの妹。そろそろ姉には自分の置かれてる立場に気付いてほしい。

ノエリア…フォセットの姉。妹がまだ本気を出してるのでいい加減にしてほしくて腹立たしくなっている。

エビーチェ…フォセットの友人。博識で一緒にいると気付きが多くここまで自分に付き合ってくれるフォセットに感謝しかない。

噂を流す令嬢達…周りやフォセットから相手にされなくて無駄に高すぎる自身のプライドが許せない。


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