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「お父様。私の方は順調に結果を出してますが彼方側から連絡は何かありませんか?」
テストを終えたフォセットは休息日に実家に戻るとすぐに父キリアックに尋ねていた。
「いや、まだ何もないよ」
「そうですか…」
残念そうに肩を落としながらフォセットは学園でノエリアの態度の報告と第三王子が何やら探りを入れていることを話すとキリアックも眉を寄せた。
「…なるほど。ノエリアが生徒会に入っているから警戒して殿下のみが知るなら念のために探りを入れる可能性はあるかもしれないね」
「やはりそう思われます?出来ることなら何もせずに静観していて欲しいんですけど…彼方が動くなら私は何もしなくて良くないですか?」
「私もそうは思うけど…今回はどうしようもないから指示があるまでは下手に抗わずに流れのままにね」
面倒な話にフォセットはとても嫌そうにしたが父親の話も尤もなので仕方なくといった様子で頷いた。
「…わかりました。あと夏期休暇ですが暫く留守にしますから宜しくお願いします」
「おや?珍しいねぇ。何処に行くのかな?」
話題が変わったのでキリアックも気分を切り替えるとこの話題はフォセットも興味を唆るものなのか珍しく少し楽しそうにしていた。
「キャラメツ伯爵家のご令嬢に招待を受けましたので行って来ます」
「キャラメツ伯爵領は養蜂で有名だからお土産頼むね」
「勿論わかってますよ。あちらのは本当に美味しいですもんねぇ。私も今から楽しみなんですよねぇ」
その声はソワソワしていて普段の達観した様子とは違い色気より食い気のまだまだ子供な娘の様子にキリアックも安堵しながら穏やかに微笑んでいた。
「折角ですしあちらで食べ比べさせて貰えないか交渉しないと…」
「なかなか贅沢な交渉だね?」
キリアックもキャラメツ伯爵領のペリオルビーの蜂蜜が高価なのは知っていたので流石にこれは図々しくないかと心配になった。
「ですよねぇ。個人的にはやはり現地の出来たてを食べたいので頑張ってみますね」
「やり過ぎには気を付けなさいね?」
「そこは弁えますよ」
話しながら食欲に忠実な様子の娘が暴走しないか心配になるとなんとなくでもその意図に気付いたフォセットは少し拗ねながら頷いた。
それから二人はペリオルビーの生態と蜂蜜の話をして盛り上がると我が家でも何か出来ないかという話になり今度の視察で何か掴めないかやってみる話になるとフォセットは少し楽しそうにしながら退室した。
その後は寮に戻りながら彼女の頭の中では蜂蜜の事で一杯になり楽しくなると気が紛れていて彼女にしては珍しく少し浮かれていた。
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登場人物の紹介です。宜しければご利用下さい。
フォセット…シャルダン男爵家の双子の妹
キリアック…シャルダン男爵家の当主。フォセット達の父親




