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王都の間取りを考えた

「はあ~」

 作業中だというのに、溜め息がこぼれる。

 昨夜の女神様たちやフレデリカたちの話しも中々衝撃的だった。あの世界が自分が作り上げた世界だというのは分かっていたが、よもや自分が生まれ育った現実世界までだれかの創作物だとは思わなかった。

 それに、没にしても一度書き起こした設定がしっかり適用されるとか…本当に吃驚だよ。

「はあ~」

 またまた溜め息が出る。

 あ、ヤバい!吉井さんがこっちを睨んでる。これ以上溜め息を吐かないようにしないとまた呼び出しを食らっちゃうな。

 とはいえ、今現在の珍妙な事態にまだまだ戸惑いはある訳で…

「もう少し、ソフト?ライト?な感じでお願いしたかったなぁ…」

 わたしは一人ごちる。私はここ最近、ずっとこんな調子である。そんな私に

「高木ちゃん、どうかしたの?」

 と声を掛けてきたのは、同じラインの井手信子さん。

「井手さん…」

 このオバチャンは誰かが沈んだ表情をしていたら、こうやって声を掛けて回っている。多分世話好きで悪い人ではないんだろうけど…正直私はちょっと苦手だ。この人、と~ってもおしゃべり好きで、羽毛より口が軽い事で有名だし。

「何かあったの?溜め息なんか吐いちゃって。」

 ニコニコと話し掛けてくるが…今は作業中だよ?早く作業に戻りなよ?じゃないと、また私が吉井さんにどやされるじゃない。

「何もないですよ?お気遣い有難うございます。」

 とニッコリ笑って返す。

「でもさ。この所ずっと溜め息吐いてるじゃない。私、どうしても気になっちゃって。」

 井手さんは猶も食い下がる。ああもう!

「井手さん。今は作業中ですよ?早く戻った方がいいんじゃないんですか?」

 私は手を止めずにそう言った。

「いいの、いいの。私、休憩中だから。」

 ニコニコとそう宣う。だったらさっさと休憩所に行けよ!

「でもさ~」

 井手さんは猶も言い募る。そこに

「高木さん。」

 ほら来た~!あんたのせいだよ、井手さん!

 私はまた一つ溜め息を吐く。


   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 あれから案の定、吉井さんのお小言を食らった私。

 ああいう場合、何故か吉井さんは相手~この場合は井手さんね~ではなく、私を標的にするんだよね。

 理不尽極まりないが、抗議したって吉井さんは聞く耳を持たないんだ。全くもって理不尽だ!

「はあ~」

 まあいいや。仕事も終わったし、このカフェでのんびりお話を書こう。

 私はいそいそとスマホを取り出す。

 昨日、フレデリカたちと話している時に思ったんだ。あっちの世界でもお話を進められたら便利じゃない?って。

 あっちの世界で聞いた事をその場で書き込めれば、それだけ早く設定も固められるし。何よりこっちに戻ってから書き込んでたら、折角聞いて浮かんだアイデアを“あれ?どうだったかな?”と、ど忘れする事もあって非効率だし。

 だから、今日早速それが可能なアイテムを私に作ろうかと。さて、どんな感じにしようか?

「やっぱりノートみたいにしたらいいよね?」

 デザインはこう、ちょっと装飾過多な感じで。イメージとしてはアール・ヌーヴォーとかロココ調とかそんな感じ?薔薇とか翼とかのモチーフで縁取りしたちょっと豪華で重厚なイメージで。そしてペンは羽根ペン風の奴。ガチの羽根ペンは使いづらいから、あくまで見た目がって事で。

 実用的では無いだろうけど、いいんだ。女神様が持つものなんだから。少々現実離れしていた方がそれっぽいじゃない。こんなのは雰囲気なんだよ。見た目大事!

 で、肝心の機能はズバリ!スマホそのまんま!小説を書き込めるのは勿論、色々検索出来ちゃったりしたら面白いじゃん。マップ機能なんか重宝しそう。

 で、これって常に手に持っていたら邪魔だよね。なので、使う時だけ手元に呼ぶ仕様にしたらどうかな?普段は何処かアクセサリーみたいに小さくして身に付けとくとか?それか、異世界物でよく見掛けるアイテムボックスに収納?

 う~ん。まあ、その辺はその内考えよう。

 目出度く私のアイテムが出来上がった所で、本題に取り掛かろう。

 差し当たっては王都ハイウッドを練り上げないとね。じゃないと何時まで経っても神殿から出られない。奴らがどんな感じに侵略しているのかを調べる為にも、早く動けるようにならないとね。

 という訳でまずは王都の間取りを決めるべく頭を捻る。

 女王がいるんだから、王宮は絶対にあるよね?で、王宮に続く大通りが真っ直ぐ伸びているっと。

 向かって左の区域は商業·工業区域で、右の区域は学校や神殿が立ち並ぶ区域って感じ?こういうのって、何か決まり事みたいなのがあるのかな?その辺よく分からない。

 で、右の区域の奥が貴族たちの居住区域、左の区い気がするの奥が庶民の居住区域って感じで大丈夫?

 それぞれの区域に立派な公園があって、住民の憩いの場になっているというのもいいな?そこに湖なんかあったら、デートスポットになってそうだよね?

 じゃあ、我らが総合神殿は大通りの目立つ場所にあるといいかな?王宮と並ぶ王都のシンボル!って感じに。後は…

 

 この後、私は頑張って王都の大体の形を何とか書き上げ、投稿する事が出来た。



  


 

 



  





 

 

  

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