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彼女たち、この世界の事を語る

「はあ」

 フレデリカの言葉に私は生返事を返す。

「ミナティ様が師匠やあの子達に会いたいなら、まずは環境を整えなきゃ、ね。」

 環境を整えるとは、要するに話しを進めろという事だよね?

「そういう事。で、その為に私たちに話しを聞きたかったんじゃない?」

 フレデリカはパチンとウインクを寄越してくる。

「まあ、そりゃあね。」

 既に決まっている事があるなら是非とも知りたいのは間違い無い。

「ふふふ。ミナティ様は素直ね~」

 フレデリカは非常に良い笑顔である。

「………」

「そりゃそうよね。」 

 ニコニコと良い笑顔のフレデリカ。


   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「まず最初に、この世界はミナティ様が作り上げた世界。これはOKよね?」

「うん。」

「で、世界っていうのはこの世界のように誰かが創造している“作品”なの。」

「?」

 いきなりよくわからない。世界は誰かが創造している作品?

「よくあるのは小説や漫画の世界ね。後、ゲームの世界も最近はチラホラ見受けるかな?他にも様々な由来の世界はあるけど、大体この三つが主だったものね。」

「………」

 何だそりゃ。すると何か?私が生まれ育った世界も誰かの創造物って言いたいの?

「ご明察!ミナティ様、理解が早いわね。」

 フレデリカはニッコリ笑っている。

「ミナティ様の言う通り、あらゆる世界は誰かの創造物よ。勿論、ミナティ様が暮らす世界もね。」

「……」

 私は何と言ったものやら分からず、ただ沈黙する。

「まあ、これ以上詳しい事はまた別の機会にしましょう。色々ややこしいから、時間が掛かっちゃう。」

 そう言ってフレデリカはニッコリ笑う。

「で、今回問題の“悪意ある侵略者”だけど。」

 私はハッとフレデリカを見つめる。それは是非聞いておかなきゃならない。

「一言で言うならそいつらは平和が嫌いな連中でね、この世界のように平和でほのぼのした世界をぶち壊すのが使命だと思っている連中なの。」

「………」

 何、そのはた迷惑な連中…嫌なら見なきゃいいだけじゃん。何だってまたそんな迷惑行為をやるんだよ…?

「今分かっているのは、連中はそういった平和を享受している世界を乗っ取って自分たちの勢力に組みこもうとしているって所ね。」

「………」

 私は二の句が継げない。だからって何で私の世界を標的にするんだよ?こんなど素人の小説なんかをわざわざ標的にしなくったって、他にも環境の整った良い作品は幾らでもあるだろうに。

「だからじゃないかな?」

 フレデリカはニッコニコと言ってのける。

「は?」

 私は首を傾げる。

「既に出来上がった世界は手を出し辛いみたいなのよね。この世界って、作り始めたばかりで尚且つ素人の作品だから設定も穴だらけ。だから連中も手を出し易いみたい。」

 本当、迷惑千万な奴らだ。

「この世界を連中の魔の手から救うには、一刻も早くこの世界を作り上げていなかきゃいけないって事なの。」

「はあ…」

 何とも壮大な話しだな。何度も言うが、どうしてこうなった?

「だからミナティ様。頑張って書き上げて下さいね?」

 フレデリカはニ~~ッコリと笑って、私に圧をかけてくる。

「…はい、頑張ります…」


「ねえ?」

 私はここで、どうしても気になっていた事を聞いてみる。

「何でしょう?」

 女王様がにこやかに応じる。

「あの~、私が貴女たちの名前を決めようと思った時、いきなり貴女たちの名前が頭に浮かんできたんだけど…?」

 この瞬間、フレデリカと女王様、神官長様は顔を見合わせニヤリと笑う。

「?」

 え?この反応は何?

「上手くいったようですね?」

 と、にこやかに女王様。

「誠に。流石は大魔法使い殿ですわ。」

 神官長様も厳かで表情のままフレデリカに。

「いやぁ~、成功して良かった~」

 フレデリカは満面の笑みでそう応じる。 

「……」

 と、いう事は、だ。あれはこの三人の仕業だったという事に…

「え~っと?取り敢えずどういう事か、聞かせて貰っても?」

 私は渋面になっているのを自覚しつつ、この三人を問い詰める。

「あっれ~?ミナティ様、もう分かっているでしょう~?」

 フレデリカがニヤニヤしながらそう言ってきた。

「~~~!」

 私は思いっきりフレデリカを睨みつけてやった。

「お察しの通り、私がミナティ様に念を送って私たちの名前を伝えたんです。」

 フレデリカは全く悪びれた様子も無く答えてくれた。

「…だったら最初から教えて欲しかった。」

 思わずボヤく。

「あら。そうすると面白くないじゃないですか~。これはミナティ様の創作なんだし~」

 そう言った後に、でも…とフレデリカは真面目な表情になる。

「今回ばかりはそうも言ってられなかったんですよ。」

「というと?」

 尋ねはしたが、理由は何となく分かる。例のはた迷惑な連中のせいだろう。

「結論を言えばそうなります。」

 女王様が頷く。

「私たち、貴女の作品のキャラは名を与えられて初めて貴女に関わる事が出来るのです。これは貴女のやり方に則っての法則です。」

 確かに私はまず名前を決めてからキャラ作りするけど。それがこの世界の法則だと。

「で、万が一私たちに違う名前を付けられたら、その名前を持つキャラに置き換わってしまうの。」

「へぇ~」

「貴女が大魔法使いをマリエル=ポーラにしたから、彼女の一番弟子と女王、神官長は私たちじゃないといけないの。」

「何故?」

「だって、ねぇ?」

 と、三人は顔を見合わせる。

「?」

「私たちは幼馴染で、大の仲良しなの~!」

「………」

 あ、そうですか……


「てか、マリエル=ポーラって?私、マリエルにそこまで名前付けてなかった筈だけど?」

 私は疑問だった。ポーラはあくまでもあの村の名前で、且つあの地に赴いたヨーティア神殿の初代神官長って設定だった筈だ。

「? ミナティ様、そのように設定されていますよ?」

 神官長様がおどろいた表情でそう答える。

「はい?」

 んな設定、いつしたっけ?

「以前、そう書き込まれていましたが?」

 と言われても、心当たりが…と考えた所で、ふとある記億が頭を過った。

 アプリコットちゃんたちを書き始める前、王都のナンチャラを書いた事があった。その時に小さな町や村出身の人は姓を持た無いから、姓を名乗る必要がある時は町や村の名を姓として名乗る、とか書いたような…

 あの後、特に必要無いよね!と没った設定だったよね、確か。

「………」

 え?没った設定もアリなの?

 何?その有り難いような怖いようなシステムは…?


 この世界は私自身が作った筈なのに謎はどんどん深まるばかりであった。


 


 

 


 


  





  


 

 


 

 

 

 

 

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